入学金納入日に間に合わず、父親が大学で嘆願 「胸が張りさけそう」 大学の入試・広報担当者の本音座談会【後編】
ネットバンキングの落とし穴
――入学金の振り込みでも、大学によってルールに違いがあるのですね。それはうっかりしそうです。 B大学:振り込み名義を、間違えて親御さんの名前にしてしまうケースも多いです。受験生の名前に受験番号をつけて入力することになっているので、名前が違うとエラーが出てしまいます。 A大学:うちはネットバンキングでの入金を受け付けていないのですが、入金してくる方が。そうなると入金確認に時間がかかり、結果、入学手続きが遅れてしまいます。 C大学:入金といえば、最近はいろいろな選択肢がありますが、クレジットカードは手数料に注意が必要です。普段の買い物では店側が手数料を負担してくれていますが、大学の場合は受験生側の負担となります。手数料だけで数万円になるため、入金後に「別の方法に変更したい」と連絡いただくことがあるのですが、手続きしてしまったものは大学側ではどうすることもできません。 B大学:ネットバンキングも危ないです。振り込んだと思っていたのに、最後のワンクリックがされていなくて、手続きが完了していなかった事例がありました。
入学辞退の手続きに注意
――想像するだけでドキドキしてしまいます。そういう意味では、アナログな銀行窓口での手続きが確実なのでしょうか。 C大学:ただ、会社勤めをしていると、15時までに銀行に行くのが難しい時もありますよね。また別の受験校の結果を待ってから、期限ぎりぎりで入学金を振り込むような場合には、23時59分まで手続きができるネットバンキングは便利かもしれません。 A大学:併願校の結果待ちのために、入金を忘れるケースもよくあります。うちの大学は入学金さえ所定の期日内に納めていただければ、3月下旬まで入学手続きを保留できるのですが、その3月下旬の手続きを忘れてしまう方もいます。それもこれも、3月31日に追加合格を出す大学があることも一因です。うちの大学では、それでも3月31日の消印で入学辞退の書類を郵送していただければ授業料のみですがお返ししています。でも、4月1日になると学籍が発生してしまうので、返金不可になります。2校分の入学金と授業料がかかってしまうことになり、保護者にとって大きな負担です。 B大学:期日までにお金が工面できなかったり、教育ローンの審査待ちだったりして、「少し待ってもらえませんか」「分割にできませんか」といった相談もあります。お金の工面の大変さは重々承知しているので心苦しい限りですが、お金に関することは保護者にできる数少ないことです。早めに、確実に、準備するに越したことはないのかもしれません。 ――手に汗握るエピソードの数々、ありがとうございました。お金のことは保護者の責任。肝に銘じたいと思います。 (文=石村紀子)
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