宮沢元首相、クリントン米大統領に「中国は脅威になる可能性」 1993年外交文書公開
外務省は26日、1993(平成5)年の外交文書(計11冊、4421ページ)を公開した。この年4月に米ワシントンで行われた当時の宮沢喜一首相とクリントン米大統領の初の対面会談で、宮沢氏が将来、中国が脅威になる可能性があるとの認識を示していたことが分かった。宮沢氏が首相辞任後に中国への警戒感を表明したことは関係者の証言で明らかになっていたが、首相在任時にも同様の認識を示していたことが公文書で裏付けられた。 外交文書によると、クリントン氏から対中認識を問われた宮沢氏は、「経済が発展していけば軍事的な野心を発揮していく余地は十分ある」と指摘。その上で、「中国は当分は脅威ではないが、そうなる可能性を秘めている」との見解を伝えた。 一方、日米首脳会談に先立つ93年2月、訪米した渡辺美智雄外相に対し、クリントン氏は日本の対米貿易黒字の削減を要求。こうした経緯を背景に、宮沢氏が訪米直前、外務省幹部に「自分は皆がワシントンに行けというのでもともと乗り気ではないが行くことにしたのである、要するに米国より文句を言われにいくのだろう」と漏らしたことを記録した文書もあった。 関税貿易一般協定(ガット)の多角的貿易交渉(ウルグアイ・ラウンド)の記録、東京で開催された第1回アフリカ開発会議(TICAD)に関する文書なども公開された。公開された文書は外務省のホームページで閲覧できる。