箱根駅伝Stories/チーム作り順調な城西大 右肩上がりの目標設定 3強に食らいつき「4位以上を」
主軸の成長と厚みを増す選手層
城西大は前々回と前回、山本唯翔(現・SUBARU)が2年連続区間新で区間賞に輝いた5区が大きなアドバンテージだった。その山本が卒業。新たな選手が担う山上りが課題となるが、斎藤が5区候補の1人に挙がる。2年前の激坂王決定戦・登りの部(13.5km)で、山本に1分近い差をつけて圧勝したのが当時1年生の斎藤だった。 自身は「上りの適性があるかはわかりません。ただ全力で駆け上っているだけ。全区間準備しているので、監督に言われたところを走るだけです」と話しながらも、「自分が1番強いと思っているので、自分の100%の走りができれば区間賞は行ける」と強気な姿勢を崩さない。 11月の八王子ロングディスタンス10000mで城西大日本人最高記録の27分45秒12をマークした斎藤が5区出走となれば、他大学の候補も含めて史上初めて27分台ランナーが山上りに挑むことになる。 “三本柱”以外で、指揮官が「全選手の中で成長著しい」と評価するのが、前回6区を区間13位で走った久保出雄太(4年)だ。高校2年でサッカー部から陸上部に移り、城西大に一般入試で合格した久保出は、陸上競技同好会を経て、2年時の春に男子駅伝部へ入部した異色の経歴を持つ。 「こんなに素晴らしい監督に教えてもらったことがなかった」と、櫛部監督の導きでめきめきと力をつけた。今年度は出雲でアンカー(区間9位)、全日本は7区(区間11位)を任されるまでの主力となった。自身にもその自覚がある。 「箱根での区間はまだ決まっていませんが、チーム状況を見て、自分の中で予想しているのは、1区か9区。1区であれば集団にしっかりついていって、ラスト勝負で勝ち切る。9区であれば10区の前に試合の結果を決めるようなレースができたらと思っています」 他にも、「怪我を繰り返してなかなか走れない時期はあったが、しっかり成長しています」という鈴木健真(3年)、「駅伝では安定した力を持っている」と信頼が厚い林晃耀(4年)、「戦力になる」と言うともに1年生の三宅駿と小林竜輝など、指揮官の口からは期待の選手の名が次々と飛び出す。 エースクラスの主軸がパワーアップし、脇を固める選手たちの層も厚くなった城西大。青学大や駒大、國學院大といった3強に食らいつき、昨年度の好成績が偶然ではなかったことを示してみせる。
小野哲史/月刊陸上競技