じつは韓国よりも日本のほうが「人気ジャンルの幅が狭い」…ウェブトゥーン(縦読み漫画)業界における「日韓の違い」
日本でもウェブトゥーン(縦スクロールコミック)が当たり前に読まれるようになってきた。ところが実は、韓国と日本ではよく読まれている作品やジャンルではかなり異なる。つまり日本人のイメージする「ウェブトゥーン」像は韓国のそれとは違うのである。 【マンガ】カナダ人が「日本のトンカツ」を食べて唖然…震えるほど感動して発した一言 前編記事『ここにきて「不景気」「ヤバい」と話題になっている「韓国の縦読み漫画業界」の「意外な実態」』より続く。
ウェブトゥーンおよび出版漫画の利用状況
そもそも韓国人はどのくらい漫画やウェブトゥーンを利用しているのか。 韓国コンテンツ振興院(KOCCA)の『漫画産業白書』2024年版によると、全回答者の66.7%が「週1回以上」ウェブトゥーンを閲覧しており、「ほぼ毎日」のヘビーユーザーが29.2%。年齢層別では10代78.3%、20代76.5%、30代77.7%と若年層での利用率が高いが50代の54.8%、60代の40.4%が週1回以上利用している。平均鑑賞作品数は11.5。つまり毎日1作か2作連載を追っている人が多いとイメージすればいいだろう(その枠に入らなければいけないと考えると、作家にとっては厳しい戦いだが……)。 なお、ベネッセ教育総合研究所「子どもの読書行動の実態 調査結果からわかること」2023年によれば、日本ではデジタルコミックの読書率は小学生15%、中学生35%、高校生49%しかなく、10代の電子書籍、マンガアプリ、ウェブマンガ、ウェブトゥーンの利用率拡大は大きな課題である。 韓国では、出版漫画(紙の漫画)は週1回以上の利用者は全体の18.3%。61.6%が「ほとんど利用しない」と回答。紙の漫画で人気の作品は『ONE PIECE』『SLAM DUNK』など日本マンガが多くを占め、そこにウェブトゥーンの書籍化作品や紙の雑誌マンガ時代から続く超長期連載『熱血江湖』などが並ぶかたちとなっている。全体の36.9%が紙とウェブトゥーンを「両方利用」と回答し、13.3%がウェブトゥーン作品のオフライン単行本を購入した経験がある。 また、ウェブトゥーン利用者の47.2%が有料決済の経験を持ち、頻度は「週1回未満」が77.8%。この割合はここ数年ほとんど変わっておらず「ウェブトゥーン・ユーザーの半分は課金、半分は無課金」である。無課金ユーザーは63.4%が「無料になるまで待つ」、28.1%が「無料/提携プロモーションを活用してキャッシュ(コイン、クッキー)を貯めて決済する」としている。 有料決済意向のある利用者の月間支出額は1000ウォン未満14.1%、1000~3000ウォンが23%、5000~1万ウォンが22.8%、1万~3万ウォンが22.8%、3万~5万ウォンは4.4%、5万ウォン以上は1.2%。日本円に換算すると、約1000円未満が過半数を占める。 なお、インプレス総合研究所『電子書籍ビジネス報告書2024』によると日本では1ヶ月あたり電子書籍ストアで購入する平均金額は「200円未満」15.6%、「700~1000円未満」14.7%、「1000~1500円未満」12.0%、5000円以上のユーザーは5.0%。まとめると月500円以上利用が全体の56.9%、1000円以上で34.5%、平均で1537円だった。韓国と日本ではマンガの販売単価が違うこともあるが、日本の方が平均支出額が若干高く、ヘビーユーザーの割合も多い。 筆者が意外に思ったデータとしては、『漫画産業白書』によるとウェブトゥーン利用方法として「連載でその都度読む」が45.6%、「一気にすべて読む」が54.4%と連載派と一気読み派がほぼ半々、ということだ。毎週更新されるたびに読むユーザーが多数派ではないのである。