小川直也が「根性論」と「詰め込み教育」を全否定しないワケ「良いか悪いか“やった人”が言うべき」
「根性論がいいか悪いかって“やった人”が言うべき」
それでも小川は、「それをやって結果が出ちゃうから、あ、これをやらなきゃいけないのかなって思っちゃうんだよね。人間て、結果が出ちゃうと、これが正しいんだって思っちゃう」と話し、過酷な練習のおかげで世界のトップレベルに自身がたどり着けたことを認めながら、「気持ちでは負けたことがない」理由も、やはり練習量の違いから来たものだったと告白している。 これには小林氏も、「長時間練習は意味がないとか、合理的な練習にしないといけないとか、昔からよく出てくるけど、結局、根性論が最後には勝つっていうか」と、世間に存在するそういった流れに懐疑的な思いを持っていることを明かすと、小川もこれに呼応する。 「根性論がいいか悪いかって、(合理的ではない練習を)やった人が言うべきだと思うんですよ。じゃないと分からないじゃないですか。長時間練習をしてもいないのに、『効果が……』って言われても。よく、やってもいないヤツが相対的評価でデータを出して、これは意味がないって結果に結びつけるんですけど、実際に長く練習したヤツがいないからデータがないんですよ」 ちなみに、なぜ小川が「根性論」を全否定しないのかといえば、そこには裏付けがある。 「明治大学の練習がキツいって言われてた時代は、僕を筆頭に一つ下に吉田(秀彦)がいて……」と小川以外にも4人の世界チャンピオンを輩出した実績があるというのだ(※動画には出ていないが、タイトルには女子も1人世界チャンピオンになった旨の記載がある)。 小川によれば、「各学年7人くらいしか(柔道部員が)いない数少ない中で」それだけの成果を出したにもかかわらず、「それぐらい裏付けされているんだけど、そういうデータが出てこない」と証言し、「(ジャンルに関わらず)みんな上に来ている方々って詰め込み教育されてるけどな。どの分野もみんな死ぬくらいやったって」と話した。 なお、小林氏が現在連載中の『JJM女子柔道部物語』(講談社)を手がけることになった理由も、「(モデルになった物語の舞台は)普通の公立高校の柔道部なんですけど、それがなんでこんな強くなったんだろうって疑問だったわけ。取材をしたら長時間練習をしてるわけ。6時間とかね。かえって新鮮でしたね結局ここだよなと思って」と明かす。 「やるかやらないかは本人に任せればいいのにと思って。それが続くか続かないのは別次元の話だから」(小川) 「根性論」と「詰め込み教育」に背を向け、ゆとり教育を推進してきた結果、この国はどうなったのか。政府や教育関係者は今一度、何が必要で何が不要なのか。改めて再考すべきタイミングが来ていることは間違いない。
“Show”大谷泰顕