大規模な反政府デモが続くジョージア 知っておくべきこと
この状況に至った経緯は?
米国の非営利団体NDIが昨年12月に実施した世論調査によると、ジョージア国民の約80%が欧州への統合を支持している。 一方で多くのジョージア人は、08年にジョージアに侵攻し、国際的に認められている同国領土の約20%を占領するロシアに強い敵意を抱いている。 22年2月にロシアがウクライナに侵攻して以来、何千人ものロシア人、特に徴兵を逃れてジョージアにやってきたロシア人男性が同国の社会構造を壊しているとして、多くのジョージア国民はロシア化への懸念を強めている。 ロシアで財を成した億万長者によって設立されたジョージアの夢は、近年、急激に権威主義へと転じている。ジョージアは今年、ロシアに似た「外国の代理人」法を可決した。政府による監視機関の弾圧を可能にするこの法律は、EU、米国、そしてジョージア国内の反体制派を警戒させている。
EUと米国の反応は?
米国とEUは、ジョージアにおける権威主義の高まりと、抗議者に対する警察の攻撃的な対応を批判している。 米国務省は「ジョージア国民に対する警察の過剰な力の行使」を非難。与党の「反民主的な行動」を理由に両国間の戦略的パートナーシップを停止すると述べた。 EUの外相にあたる外交安全保障上級代表のカヤ・カラス氏はSNSで、EUは「ジョージア国民と彼らの欧州の未来に対する選択を支持する」と述べた。 また、抗議者への暴力を非難するとともに同国の民主主義の後退に遺憾の意を表明した。
ロシアの反応は?
ロシアが08年にジョージアとの5日間の戦争に勝利して以来、両国の外交関係は断絶している。 しかし近年はジョージアの夢が欧州と距離を置くようになったこともあり、ロシアとジョージアの関係は改善してきている。 ロシアのペスコフ大統領報道官は2日、同国はジョージアの政治プロセスに「干渉していない」と述べ、他国がジョージアを「不安定化」させようとしていると批判した。 ペスコフ氏は14年にウクライナで起きた「マイダン革命」に言及。この革命の前には当時のヤヌコビッチ大統領が西側諸国との関係を断ち切り、ロシアへの傾倒を強める中でEUとの連合協定の締結準備を取りやめていた。 メドベージェフ元ロシア大統領は、ジョージアでの出来事を革命の試みと形容。テレグラムで同国が「ウクライナと同じ道をたどり、暗黒の深淵へと急速に向かっている。通常、この種のことは非常に悪い結末を迎える」と警告した。
ジョージアの反応は?
ロイター通信によると、コバヒゼ首相は米国の批判を否定し、警察は「憲法秩序を侵害する新たな試みから国家を守ることに成功した」と述べた。 ジョージアの夢もロシアとの関連を否定している。 コバヒゼ氏は、同党はジョージアのEU加盟申請に引き続き尽力しており、EUの政治家による「脅迫と操作」に抵抗しているだけだと主張している。