【JMAEXPO】「生きて帰れてホッとしてる」関根シュレックが2mの巨人退治し、涙
<ジャパン・マーシャルアーツEXPO(JMAEXPO):プロローグ大会>◇19日◇神奈川・横浜BUNTAI 巌流島ルール(3分3R、無差別級)で行われた第4試合で、関根“シュレック”秀樹(51)が判定2-1で、身長2メートル7センチ、体重130キロの巨人ルアン・ヴィッセル(南アフリカ)に勝利した。 勝利後、控室に戻る途中、関根の目には涙が浮かんでいた。「生きて帰って来られてホッとしてる」。直前に対戦相手がヴィッセルに変更となり、調べれば調べるほど相手がとんでもない怪物だということが分かってきた。 ヴィッセルは、現WBAスーパー、WBC、WBO世界ヘビー級統一王者オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)や、元UFC世界ヘビー級王者でプロボクサーでもあるフランシス・ガヌー(カメルーン)のスパーリング・パートナーを務め、過去にはラグビー南アフリカ代表(スプリングボクス)の一員だったこともあるという超アスリートだった。 関根は「毎日、本当に逃げ出したい、断りたい、何かアクシデントがないかとか。そんなことばかり考えて、眠れない毎日だったんです。(漫画の)キン肉マンが試合を受けて、風呂敷に荷物詰めて逃げちゃうみたいな(笑い)。本当にああいう心境に陥って。でも僕には仲間がいるし、逃げるわけにはいかない。そのせめぎ合いで、実際ああいう相手とやって、仕事をやってのけたという解放感で」と涙のわけを説明した。 試合は関根がヴィッセルの重いパンチをかいくぐり、グラウンドの展開からパウンドを連発。ボンサイ柔術所属の関根にとって、相手を倒せば簡単に関節技を極められそうなものだが、そこも「ウチでいったらサトシ、クレベルぐらいしかいないんじゃないかな。ちょっとあの(体の)サイズの違いで腕が取れる気がしなかったんですよ」と腕ひしぎ逆十字を狙わなかった理由を説明。こつこつパウンドを当てて勝利を引き寄せた。 セコンドには「怪物くん」こと鈴木博昭の姿もあった。ボンサイ柔術の選手たちに打撃を教えている鈴木について、関根は「自分は弱い人間なんで、どうしても弱気になっちゃう時がある。今日もヴィッセルの強いパンチを受けて下がりそうになった時に、しっかり彼が『前に行け!』と言ってくれるんで。すごい的確な勇気をくれる。単純なテクニックじゃない、気持ちをくれるんで。まさに超人ですよね。超人パワーをくれる。そこを信頼していつも(セコンドに)選んでます」と感謝した。 「グラップリングは本職。打撃ありの競技っていうのは僕にとっては挑戦なんで。やっぱり未来の子供たちに“気持ち”を残せるのが打撃ありの格闘技なのかなと。だからどこでもいいから(試合に)出してください」という関根は、シュートボクシングのヘビー級王座への挑戦をこの日の試合後にもあらためてアピール。そして定期的に参戦しているストロングスタイルプロレスのレジェンド王座獲得にも意欲を見せた。 関根は「帰り際にキン肉マンの嶋田先生(漫画家・嶋田隆司氏)に褒められて、すげえうれしかった」と、最後は笑顔で控室に消えていった。【千葉修宏】