品薄続きのオレンジジュース 広がるプレミアムな「生」搾りジュース機
手軽にビタミンや糖分を補給できるオレンジジュース。丸ごとのオレンジを機械が搾って1杯ずつ提供する生ジュースが、静かなブームになっている。一方、濃縮果汁を使った値頃な市販品は品薄が続く。オレンジジュースにいったい何が起こっているのか。 今月中旬、東京都文京区内のスーパーを訪れた。紙パックジュースの棚を見ると、リンゴ、パイナップル、ブドウは、それぞれサイズもメーカーもさまざまな数種類がそろうのに、オレンジは、900ミリリットルと200ミリリットルが1種類ずつしか置かれていなかった。 品薄の原因は、原料となる濃縮オレンジ果汁の不足だ。飲料メーカーへの影響は深刻で、森永乳業の「サンキスト100%オレンジ」は、今月17日に社内の商品在庫がなくなったため、販売を休止した。それ以前に、雪印メグミルクの「ドールオレンジ100%」は昨年4月から、アサヒ飲料の「バヤリースオレンジ」は同12月末から、大型サイズの販売を休止。ヤクルト本社の「オレンジジュース」は今年4月から休売している。 ■大半を占めるブラジル産の輸入が激減 日本果汁協会の川村和彦専務理事によると、加工用オレンジを搾って作る濃縮オレンジ果汁は、ほぼ100%を輸入に頼っている。ところが近年、総輸入量の5~6割を占めるブラジルで、果樹の病害と天候不順が続き、収穫量が激減。令和3年の輸入量は前年の半分近くまで落ち込んだ。 追い打ちをかけたのが、急激な円安だ。5年の1リットル当たりの輸入価格は491円で、前年の323円から1・5倍に跳ね上がった。「総量が足りないうえに、価格が考えられないくらい上がったので、日本が買い負けるようになった」と川村さん。 国産でまかなおうとしても、オレンジの生産量は極めて少なく、代替品として期待されるミカンなど他のかんきつ類は、生食用のほうが高く売れるため、ごく一部しか加工に回らない。川村さんは「果汁不足は一朝一夕には回復しない」と声を落とした。 ■新鮮な果実をマシンで搾り、出来たてを