品薄続きのオレンジジュース 広がるプレミアムな「生」搾りジュース機
そんな中、注目を集めるのが、生の果実を搾って作る、出来たてのオレンジジュースだ。リーガロイヤルホテル東京(東京都新宿区)は4月から館内レストランに、生のオレンジを目の前で搾ってジュースにする最新鋭の機器(マシン)を導入した。ボタンを押すと、上部のかごから新鮮なオレンジが投入され、わずか15秒で爽やかな香りのフレッシュジュースが出来上がる。
朝食ビュッフェに取り入れたところ、「2杯、3杯と楽しむお客さまが多く、大変好評です」(佐藤幹一マネジャー)。ほどなく昼夜の食事利用者にも1杯500円で提供を始め、休日には200杯以上も出る人気メニューになった。
果肉の粒感のある鮮やかな黄色の果汁はとろりと濃厚。1滴の水も加えられていない。鼻腔を抜ける香りを感じながら飲み干すと、きりっと強い酸味と果物の甘みがのどを伝った。「これは食べるジュースです」と、佐藤さんは胸を張る。
このマシンを販売するミー・グループ・ジャパン(さいたま市)は、生搾りオレンジジュースの自動販売機を自社事業として全国に展開。参入から3年足らずで、駅前や商業施設などに400台以上を設置した。市販ジュースの品薄が続く中、じわじわと売り上げを伸ばしている。
生のオレンジは濃縮果汁とは違い、品種や産地が特定の地域に偏っているわけではないため、比較的安定した調達が可能なのだという。
「冷えたオレンジを搾った果汁そのまま、氷を使わないため、本来の濃厚で香り高い味わいを楽しめます。そのおいしさを一度体験して、リピーターになる人が増えています」(同社担当者)。同じオレンジジュースでも、搾りたての味わいは、より身近になりつつあるようだ。(田中万紀)