スウェーデンのノースボルトが経営破綻 車載用で中国製LFP電池に敗れる 野辺継男
ここで、現時点ではLFP電池は中国企業しか製造していないという点が重要となる。技術的にできないのではなく、特許に関連した制約から、中国以外でLFP電池が量産化されるのは早くても26年になると予測されている。 こうした大きな変化の中、今年6月、独『ハンデルスブラット』紙などは、「ノースボルトが20年にBMWと合意した電池セルの長期供給契約の履行に失敗した」と報じた。報道によると、ノースボルトは連続生産の立ち上げが、予定より2年遅れているうえ、廃棄物が多すぎると指摘されている。ブルームバーグ・ニュースは、BMWが20億ユーロの既存発注をキャンセルしたと伝えている。 日本の自動車業界がノースボルトから学ぶべき点は、今後の自動車業界での存続を左右するのは急激な変化への柔軟な対応能力にあるということだろう。 (野辺継男・名古屋大学客員教授)