サマータイム廃止、オバマケア見直し、ウクライナ戦争停戦…イーロン・マスク氏が「連邦政府予算2兆ドル削減」のために打ち出すと予想される“奇策”の数々
マスク氏の発想はトランプ氏と「2世紀」違う
以上はあくまで「私がマスク氏だったらどうするか」と考えた“妄想”である。しかし、マスク氏はそれぐらい常識に囚われない発想で予算削減に大鉈を振るい、トランプ大統領はそれに乗っていくと思う。 ただし、2人の蜜月関係は長続きしないだろう。現在、マスク氏はファーストレディ(大統領夫人)ならぬ“ファーストバディ(大統領の相棒)”と呼ばれているが、それは今のところ2人の利害が一致しているからにすぎない。おそらく1年以内、早ければ半年ほどで仲違いし、マスク氏はやりたいことだけやってさっさと辞任するのではないか。 そもそもトランプ大統領の発想はメキシコ国境に壁を建設するなど19世紀的だ。かたやマスク氏の発想は21世紀的で、2世紀の格差がある。果たして、このコンビはアメリカを救うのか、それとも壊すのか? マスク氏はこうXに投稿している――「政府を効率化するか、アメリカが破綻するか。結局いずれかになる。私が間違っていればよいのだが、それが真実だ」。 【プロフィール】 大前研一(おおまえ・けんいち)/1943年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、本社ディレクター等を経て、1994年退社。ビジネス・ブレークスルー(BBT)を創業し、現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める。最新刊『新版 第4の波』(小学館親書)など著書多数。 ※週刊ポスト2025年1月17・24日号
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