吉村順三が見たアメリカの建築。師・アントニン・レーモンドとの交流からひもとく。
展覧会では師・レーモンドら吉村をめぐる人々との交流の記録が展示されている。レーモンドの事務所で〈東京女子大学礼拝堂〉などを担当した杉山雅則は後に三菱地所に移り、丸の内の都市開発に携わった。1941年に吉村が日本に帰るときにはレーモンドがスケッチブックに愛らしいイラストとサインを描いてプレゼントしている。〈ポカンティコヒルの家〉には吉村や杉山と同じくレーモンド事務所に在籍していたジョージ・ナカシマの家具が220も置かれた。
吉村はレーモンドを通じてアメリカの建築から多くを学び、レーモンドは吉村を通じて日本の庶民の家や伝統建築に触れている。こういった交流から2人が得たものは自然に対して、また人に対して開かれた建築だった。戦争という不幸な事態を越えて2人が育んだものから生まれた建築を体感できる展覧会だ。
『建築家・吉村順三の眼(まなざし) ーアメリカと日本ー』
〈公益財団法人ギャラリーエークワッド〉東京都江東区新砂1-1-1 竹中工務店東京本店1F。~2024年3月28日。日曜・祝日休。10時~18時(土曜・最終日は17時まで)。
text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano