欧州諸国、シリア難民認定申請を一時停止 アサド政権崩壊で
【AFP=時事】シリアでバッシャール・アサド政権が崩壊した事態を受け、英国、ドイツ、フランス、イタリアをはじめとする欧州諸国は9日、シリア出身者による難民認定申請の審査をすべて凍結すると発表した。オーストリアは、近いうちにシリア難民を本国に送還する準備を進めるとの考えを示している。 【写真】シリア反政府勢力、首都近郊で拷問遺体40体発見 ドイツは、アンゲラ・メルケル前首相の下、主に2015~16年に約100万人のシリア難民を受け入れてきた。 ドイツ外務省の報道官は「アサド政権が終わったという事実だけでは、残念ながら(シリアが)将来、平和的に発展していく保証にはならない」と指摘。 ナンシー・フェーザー内相は、多くのシリア難民は「今ようやく故郷に戻れる希望を抱いている」が、「シリアの現在の状況は非常に不透明だ」と想定されるリスクについても言及した。 連邦移民・難民庁は「状況が明確になるまで」難民認定申請の審査を凍結するとした。 反移民を掲げる極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の共同党首、アリス・ワイデル氏はX(旧ツイッター)で、「ドイツで『シリア解放』を祝っている人々には、もはや国外に避難すべき理由がないのは明白だ」とし、「彼らは直ちにシリアに帰るべきだ」と主張している。 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、ドイツによる難民認定の審査凍結を非難し、「現在、シリアの人権状況は全く明らかになっていない」と強調した。 国連人権機関の代表も、シリア難民の帰還については「忍耐と警戒」が必要だと警鐘を鳴らした。 約10万人のシリア人が暮らすオーストリアのカール・ネハンマー首相は内務省に対し、「シリア人の難民認定申請をすべて保留とし、すべての難民認定を見直すよう」指示したと発表。内相は「シリアへの秩序ある本国送還と強制送還プログラムを準備するよう指示した」としている。【翻訳編集】 AFPBB News