上位10%の富裕層が世界のCO2排出量の半分を占めている
億万長者の「個人の行動の変化」には影響力が
温暖化が着々と進む中で、気候変動に取り組む手段として消費者の選択を取り入れる動きが活発になってきています。たしかに、自動車通勤ではなく、公共交通機関や自転車を利用すれば健康にも地球にもいいと思いますが、個人の行動を変えただけでは問題は解決しません。通勤にどうしても自動車が必要な人もいますしね。 無意味とまではいかなくても、小さな一個人が自動車通勤をやめたところで、世界の総排出量からしたら焼け石に水です。中国やインドの産業から排出される二酸化炭素をオフセットするには、飛行機の利用をどんなに減らしても不十分なんです。 でも、億万長者になると話は別。マスクやベゾスのような大富豪は、プライベートジェット機による移動をやめるだけで大量の二酸化炭素を排出せずにすみます。この際、プライベートジェット機の利用を半分にするとか、スーパーヨットだけを売るとかでもいいです。それでもそれなりの効果があるんじゃないでしょうかね。 マスクとベゾスが気候変動を懸念しているのは周知の事実です。マスクがテスラに投資したのは、ガソリン車が温暖化の主な原因だと考えたからです。ベゾスも、食料格差と気候の研究に取り組む慈善団体に数十億ドルをつぎ込んでいます。 とはいえ、二人とも地球を離れようとしているんですよね。富が増えるにつれ、ベゾスとマスクはそれぞれブルーオリジンとスペースXに多くの時間と資金を費やしてきました。そして両者は共にその理由を恥ずかしげもなく公言しています。彼らは気候が悪化の一途をたどる地球を去りたいんです。彼らを乗せたロケットは、大気中に何千トンもの炭素を置き去りにして地球から飛び立つことでしょう。 億万長者たちがつくり出した問題を解決するのは、ファーストクラスのチケットを買うお金すら持っていない普通の人々です。 そうそう、マスクが計画している火星の自給自足コロニーでの成功に自分の未来を賭けるという選択肢もありますよ。
Kenji P. Miyajima