3度命を失いかけ、変顔芸人で開花 障がい者のエンタメ活動や災害復興支援にも尽力…33歳女性の素顔
「義眼のモデル」富田安紀子のパリコレ・ランウェイ企画の仕掛け人
その一方で、どこか違うという思いもふつふつと沸いてきた。「自分だけが有名になってチヤホヤされて、自分だけが成果を得るためにこの人生の時間とエネルギーを使うのは、真の生かされた意味ではないから」。新たな道を見つけた。フィリピンのスラム街の子どもたちに野球を通して夢を持ってもらおうという企画のボランティアに参加。そこで人生観が大きく変わった。「現地の人たちは、血がつながっていなくても、みんなの助け合いで力強く生きていました。私は、かわいそうだから助けてあげようと思ってスラム街に行きましたが、逆に、“助け合い”という本来あるべき人間の姿を見て、心が洗われ、むしろ得るものが多かったです。私が生きる意味は『人のため』という初心に戻ることができました」。 そこからプロデュース業をスタート。持ち前のガッツと底抜けに明るい性格で、自ら企画を構成、プレゼンし、スポンサー獲得のため全国を飛び回っている。 今年9月には、病気によって左目を失明し、右目も失明を宣告されている「義眼のモデル」富田安紀子の夢のパリコレ・ランウェイ企画を、仕掛け人として実現させ、話題を集めた。また、聴覚障がい者たちが出演する映画『なっちゃん、オールアップです!』の共同プロデューサーを担当。ヒューマンコメディーを通して、「障がいはかわいそう、ではなく、個性! みんなで腹抱えて笑おうよ!」との思いを込める。2025年の大阪・関西万博では、パラアーティストMUSASHIが持つ“200坪パビリオン企画”の理事も務める。 被災地・能登の災害ボランティア企画も立ち上げた。「被災地のおじいちゃん、おばあちゃん、女性、子ども、みんなから『英玲奈さんの太陽のような光をもっと世界に届けてね』とのメッセージをいただきました。応援しに行ったのに、私がパワーをもらえました」。復興を支援する複数のプロジェクトを検討しているという。 パリコレの夢を共にかなえた同世代の富田は「英玲奈さんは、言ったことを必ずやる人です。『絶対できる』といつも励ましてもらって、すごい行動力の持ち主で、尊敬しています」と、隣りではにかむ星咲の一本気な人間性について語る。 もう次なる一歩を踏み出している。一般社団法人「Super Givers」を今月立ち上げ、地方創生を中心に多角的な事業を新たに展開していく。「私にとって、誰かのために常に行動することが生きる意味につながっています。国連で日本代表として世界へ向けてスピーチ、そして、ノーベル平和賞を受賞するのが目標です!」と目を輝かせた。
吉原知也