一番大きいのは円安が追い風になること

馬渕：日本国内に目を向けると、イベントとしては4月に「大阪・関西万博」が始まります。私もシゲルさんも関西出身で身近に感じると思いますが、たとえば警備の予算が55億円増額など警備会社やイベント設営関連などに特需が発生すると期待されています。 シゲル：楽しみではあるけど、株価的にはもうすでに材料は出尽くしたんちゃうかな。関連銘柄をここから買ってもあまり上がる気がしないね。 馬渕：バッサリ（笑）。さすがデイトレーダーは判断が早いですね。7月の参議院選挙はどう見ていますか。期待感から株価が上昇する傾向もあって「選挙は買い」というセオリーもあります。 シゲル：うーん、難しいけど結局は、今までとあまり変わらん気もするね。 馬渕：そうですか？（笑）私は自民党が大敗して政権交代もあり得るような勢いを感じています。そうなると株価に影響するのは間違いないのですが、いずれにしろ不透明な状況を株式市場は嫌うので、早く方向観が出てくるといいですね。 シゲル：昨年はバブル期以来の最高値を更新しましたが、馬渕さんは今年の「日経平均株価」はどのくらいやと思う？ 馬渕：日経平均のPER（株価収益率）が16倍まで上昇する可能性を見込んで、上値は4万5000円くらいと見ています。 シゲル：一般的やね。 馬渕：そうですね、はい（笑）。70年近く相場を見てきたシゲルさんはどう予想しますか？ シゲル：株はいい時もあれば悪い時もあるので、下値は昨年8月の大暴落でつけた3万1000円台まで下がることもあるかもしれない。そこはよう見とかなあかんけど、下よりは上に行くほうが可能性は高いんちゃうかな。4万5000円よりは上で、勢いづいたら5万円超えといくかもわからんね。 馬渕：5万円！　日経平均のPERが18倍にならないと5万円には到達しませんから、相当強気ですね。とはいえ、2月の春闘で大幅な賃上げとなり、日本企業全体で10％増益を達成するような好循環が生まれれば不可能な話ではない。 シゲル：日本株にはまだまだ割安なものが多いし、一番大きいのは円安が追い風になること。それくらい上振れする可能性はあるということです。

【プロフィール】 藤本茂（ふじもと・しげる）／1936年生まれ、兵庫県出身。個人投資家。初の著書『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え 資産18億円を築いた「投資術」』（ダイヤモンド社）がベストセラーに。 馬渕磨理子（まぶち・まりこ）／滋賀県出身。京大院卒。日本金融経済研究所代表理事、経済アナリスト。ニュース番組『FNN Live News α』（フジテレビ系）にコメンテーターとしてレギュラー出演中。 ※週刊ポスト2025年1月17・24日号