静岡ガスが交雑魚「クエタマ」陸上養殖 高級魚、来秋にも飲食店へ
静岡ガスは7日、クエとハタ科のタマカイを人工的に掛け合わせた交雑魚「クエタマ」の稚魚を同社静岡支社(静岡市駿河区)の陸上養殖施設で放流した。200匹を約1年かけて試験的に飼育し、出荷する計画。海ぶどうの養殖も年内に開始する予定で、陸上養殖の事業化に向けた検証と市場調査を行う。 アーク(東京)が提供する陸上養殖システムを導入し、人工海水7トンをろ過装置で循環させながらクエタマを体重1キロ程度まで育てる。海ぶどうは魚のふんに含まれる硝酸塩を養分とし、水槽を接続することで水質が浄化されるため水の入れ替えは不要。寄生虫や病原菌のリスクを抑えられるほか、行動が少ない魚種で人の手間も比較的かからないという。 クエタマは淡泊な味わいの白身魚で、すしネタや刺し身、中華料理の食材などに使われる。静岡県内では認知度が低いものの高級魚としての引き合いもあり、来秋をめどに市内飲食店などに提供する予定。海ぶどうも育ち次第、順次出荷する。 同社は世界の人口増加に伴う将来的なタンパク質危機を見据え、「次世代の食に関わる課題の解決につなげたい」としている。
静岡新聞社