【プロレスは演出か?】70歳超えの現役プロレスラー藤波辰爾にロングインタビュー。プロレスのすべてを吐露
1971年にデビューし、今なお現役でリングに上がっている藤波辰爾さん(70歳)に、 “闘い”なのか、“表現”なのか、“競技なのか、”“ショー”なのか?プロレスの本質について聞いてみました。
■プロレスの不文律について
Q「プロレスは巡業で何試合も行うわけだから、相手をケガさせないなど力量を測りながら試合を作らないと成立しないということもありますか?」 (試合は)作りません。プロレスってケンカじゃない。もちろんレフェリーはいてルールがあるわけですから。お互いの段取りを決めるとか、そういうのもないしね。でも、お互いの暗黙の了解なのか、投げ合ったり、殴り合ったりというのは上手く出来ちゃうんですよね。 だからそれがどうしても、技がだんだん今、特に進化して技の攻防戦になってくると、やはりそういう何かお互いの暗黙の了解に見えちゃう事はあるけど・・・。 僕の(若い)頃は今のように技も豊富じゃないし、ただ相手の技も使ってはいけないとか、先輩の技を使ったらとんでもない事になる。そういう時代だったんですよね。ただ、猪木さんのコブラツイスト、かっこいいな!使おうかな・・・そんなことは考えもしなかった。 だから自分たちはリング上で、道場で(練習を)やっているように相手を倒してバックを取って相手の腕を取って決めていくという。だから、若手同士で試合すると腕を怪我したりとか、そういうのがしょっちゅうありましたけどね。道場でやっていることと、巡業へ行って本当にお客さんの前でやるプロレスとは全く差がなかったよね。
■「ありのままを見せる」アントニオ猪木さんのプロレス論
僕自身は自然と内にいて、猪木さんと一緒にいればやっぱりポイントポイントで猪木さんが何を気にしているのかというのは見えていましたからね。やっぱりプロレスという要するに格闘技という今はもういろんなジャンルに分かれていますけど、当時本当にプロレスイコール総合格闘技と一緒だから、同じイメージを持っていた。やはり猪木さんは全てが総合格闘技、喧嘩の延長じゃないんだけど・・・。 Q「1972年に新日本プロレスの旗揚げ興行で第1試合目を藤波さんが務めましたが?」 怖かったですね。「とにかく第1試合が肝心なんだぞ」っていうのが猪木さんの口癖でね。それと道場でやっているそのままをリング上で見せろ。若さと、要するに失敗を怖がらずに、変に格好よく見せようとか、そういう意識は全く持つ必要はないというか。そのありのままをリング上で見せるのが若手だという感じで猪木さんに言われていました。 若い頃、僕はたまたま猪木さんの付き人だったのか、常に猪木さんの何かそういう見せしめじゃないんだけどね。「藤波ちょっとこい」って言われて、リング上に手を置かれてね、自分の手を置いたら、リングの鳴らす小槌があるでしょう。小槌でカーン!と手を殴られたんですよ。本当に痛いですよ。「痛い!」って言ったら、猪木さんが「いい顔するじゃねえか。それがプロレスなんだよ」って。要するに“ありのままを見せろ”っていう。だから、自分で変に取り繕うと、色々なもので矛盾を起こしちゃうから、自分の正直(な姿)でやれば、お客さんに伝わるよっていう感じでね。