大分県と熊本県をまたぐ路線バス「杖立線」 は80年以上の歴史を持つ名門すぎる路線だった!!
■切符でも乗れるバス
杖立線はターミナルの1番乗り場から出ている。バスが来るまでの間、ふと目に止まったのが乗車券の自動券売機。 福岡方面などへの中距離都市間バスも発着しているので、それ用の切符かな?と、思いきや、よく見ると一般路線バスの乗車券も用意されていた。 杖立までの運賃は1050円。車内での現金払いもできるが、紙の切符で路線バスに乗るのも珍しい気がして、切符を買ってみることにした。
■街を出て、寄り道しながら山奥へ
この日田ターミナルが始発で、出発時刻の6分ほど前に杖立線のバスが入線してきた。後ろのドアから乗って前ドアから降りる運賃後払い方式だ。 車両は中型路線車のいすゞエルガミオ。日田バスは西鉄グループでもあり、当日やってきたエルガミオは白地にパステル系の縦ラインが入った、いわゆる西鉄カラーだった。 バスが発車した時点で合計3名の利用者があった。メインストリートを抜けて日田の街を後にすると、だんだんと建物の数がまばらになり始め、着実に郊外へとコマを進めているのが見て取れる。 しばらくするとバスは少し寄り道をして、高台の上に建っているサッポロビール九州日田工場へと一旦向かう。 ここには観光向けのビール工場見学コースがあるほか、アニメや実写映画化もされた有名漫画作品のミュージアム別館が近くに建っており、そこへのアクセスにも杖立線が使えるようだ。 杖立線的には工場から先が本領発揮の区間かもしれないが、ここでお客さんが2名下車していき、車内に他の乗客は誰もいなくなった。
■山間の川沿いをひたすら走る
バスが工場のある高台を下りると、大山川と呼ばれる川沿いを縫うようにして通る国道212号線を、ほぼ道なりに進んでいく。 途中、民家のあるエリアを経由するため、メインルートを少し外れて狭い道にあえて入っていく猫みたいな挙動は、(利用している側からすれば)より路線バスが楽しくなる醍醐味の一つで、この杖立線でも堪能できる。 車窓から見える景色も進めば進むほど緑が増えていき、ますますローカル路線バス旅然とした空気感に包まれる。行程の終盤に現れるダム湖・梅林湖をからめた風景は必見だ。 大分県と熊本県の県境はどこにあるのか。バスの経路では、終点の少し手前が境界になっているようだ。 後日マップで距離を測定したところ、熊本県内の移動距離は350mだった。アウェー側の運行区間が"ちょろっと"しかないのは県境越え系バスのお約束。 神奈中が運行している「三56系統(神奈川県→山梨県)」の、山梨県内約50mとまでは行かないにせよ、1kmを切る路線は中でも短い部類に入る。