小池都知事が豊洲移転問題で行程表を発表 再アセスならさらに15か月
東京都の小池百合子知事は4日、移転が延期されている豊洲市場について、今後の道筋を示した行程表を発表した。市場移転の課題解決に向けた取り組みや手続きを4段階にまとめ、途中、移転そのものの可否を判断する。8月末に移転延期を発表した際、小池知事は、安全性への懸念、巨額で不透明な費用の増加、情報公開の不足を疑問点に挙げたが、「4ステップを確実にクリアすればこれらの疑問が解消される」と強調した。
4つのステップで構成
行程表に記された4つのステップは、(1)安全性の検証、(2)環境アセスメント、(3)必要な追加対策工事、(4)農林水産大臣への認可手続、で構成。(2)の環境アセスの後に、豊洲へ移転するかどうかを総合的な観点から判断する。 ステップ1の「安全性等の検証」は、現在のステイタス。専門家会議が土壌、地下空間の大気・水質などの安全性を、市場問題プロジェクトチーム(PT)が建物の安全性などを検証している。その結果、必要に応じて対策を示す。 次に「環境アセスメント」が再び必要かどうかを判断する。安全性の検証結果と対策をセットで都の環境局に報告。その結果、環境への影響が軽微であれば、都環境影響評価審議会に提出した書類の変更で終わり、期間は1~2か月程度で済む。一方、影響が著しかった場合には、同審議会が再アセスの必要ありと判断することになる。アセスやり直しには通常15か月ほどかかるので、ここが移転や開場時期を大きく左右するポイントとなる。 このステップ2の後、豊洲に移転するかどうかを判断する。そこであらためて豊洲移転が決まった場合は、次の3つ目のステップ「必要な追加対策工事」を行い、最後の「農林水産大臣への認可手続」を経て、移転・開場される流れになる。 現在、専門家会議や市場問題PTで進められている安全性の検証について、検討終了の時期を伝えているのかとの問いに対して、小池知事は「年を越すことが明確なので、では来年はどうなのか、という話になる。確実な結論、判断材料をお願いしたい」と、検証結果の精度を優先する考えを示した。
市場関係者への補償も検討
行程表の進行と平行して、導入済み設備のリース料など、移転延期に伴い発生する市場関係者の損失への補償や支援を検討するため、今月中旬に外部有識者と都職員で構成する「補償検討委員会」を設置する。座長には、日本仲裁人協会理事の鈴木五十三弁護士が就任するほか、公認会計士や中小企業診断士らがメンバーに加わる予定。 移転延期で生じる豊洲市場の1日あたり維持管理経費については、「ざっくりとした数字」と断った上で、503万円とした。当初試算の700万円から、警備費用などの委託料や光熱水費を精査して約200万円削減したという。 (取材・文:具志堅浩二)