ポイント点火車の着火不良やエンジン不調は「コンデンサ」に要注目!!
しっかり調整管理してさえいれば、不都合無く気持ち良く走ってくれるのがポイント点火車である。現代的には、トランジスタ点火やCDI点火が当たり前だが、まだまだフラマグポイント点火方式やバッテリー点火方式を愛するファンは数多い。何よりも心強いのは、その単純なメカニズムと言える。旧車に多いポイント制御の点火システムだが、実は、好調不調のカギを握っているのはポイントではなく「コンデンサ」にあることも認識しておこう。 【画像】メンテナンスのポイントをギャラリーで見る(17枚) 文/Webikeプラス たぐちかつみ
バッテリーとは違った蓄電装置がコンデンサ
コンデンサとは、電圧を安定させてノイズを取り除くなどの機能を持っている。点火用エキサイターコイルから出力された電気はIGコイルの一次側に流れ、同時にその電気をコンデンサがバックアップする。コンデンサはポイントと並列で接続されていて、ポイントの断続時にボディ内に溜めていた電気が一気にIGコイルへ流れるため、その作用によってスパークプラグが着火する仕組みとなっている。これが原付などの小排気量モデルに多いフライホイールマグネトー点火方式=フラマグ点火方式の原理だ。つまりコンデンサ機能が低下すると、着火性能が著しく低下してしまうことを知っておこう。
コンデンサテストモードで容量を確認してみよう
コンデンサテスターもしくは一般の電気テスターの「μF」モード(コンデンサテストモード)で、コンデンサ容量を測定してみよう。ここでは、新品部品のコンデンサとエンジン不調のコンデンサを比較してみた。内部破壊によってコンデンサ容量数値が設定値と異なっていることがわかる。コンデンサ数値は、ボディに刻印などで明示されていることも多いので確認してみよう。
アウターローターモデルはローター内側へのレイアウトが多い
フラマグポイント点火方式を採用した単気筒エンジンの場合は、2ストエンジン、4ストエンジンを問わずアウターローター仕様車が多い。このマグネットローターを取り外すためには、モデルごとに専用プーラーが必要になる。プーラー利用時には、ローターの回転を固定するためのホルダーも必要になる。ベルトをローター外周に回すタイプとローターサイドの穴に棒を差し込み固定するタイプなどがある。ここでは、自転車用の専用ツールを流用している。フライホイールを取り外すと、ローター外周の内部にはS⇒N⇒S⇒N⇒の順で磁石が組み込まれている。向かって右上のコイルが6V制御の充電用チャージコイル(発電コイル)で、細い皮膜銅線で巻かれた左下のコイルが、点火用のエキサイターコイル(点火コイル)である。中間にセットされる筒状、タイゴ状の部品が「コンデンサ」だ。大型モデルの中にはギボシ端子を接続するだけで結線完了になるタイプもあるが、アウターローター仕様の場合、その多くがハンダづけによる結線になる。