バーで楽しむ「ザ・ゼロプルーフ」とは? 新しいノンアル追求 ザ・ペニンシュラ東京
連載《hotel TIPS》Vol.10
編集長がホテルのおいしいものや楽しみを探しに行く「hotel TIPS」。今回の目的地はザ・ペニンシュラ東京(東京・千代田)のバーです。ノンアルコールカクテルに情熱を注ぐバーテンダーさんがいるとの噂を耳にして、ぜひお会いしたいと思いうかがいました。 【動画・写真はこちら】カクテルをつくる手際も見もの 「ミクソロジスト」は何を語る?
■ノンアルカクテル フレッシュで重層的な味わい
気になるその方は、ホテル最上階のレストラン「Peter(ピーター)」に併設した「Peterバー」にいらっしゃる、ミクソロジー&バーマネージャーの鎌田真理さん。ミクソロジーとはアルコールだけでなく、果物、ハーブ、スパイスなどを使った新鮮なカクテルのことです。さっそくノンアルの奥義をお聞きしたいところですが、その前に、まずは鎌田さんが考案したシグネチャーカクテル「江戸パレス」をいただくことにしました。 美しい細工を施したグラスに注がれた「江戸パレス」は鮮やかなイエロー。材料は八朔(はっさく)ジュースとショウガのシロップ、トニックウオーター、そしてミントです。見れば、グラスの縁の一端が、うっすらと抹茶のパウダーで彩られています。「まずは何もついていない方からお飲みください」と鎌田さん。 苦みの効いた八朔の風味が、すきっとした酸味と甘みを従えて口いっぱいに広がります。そこに追いかけてくるのが、かすかなショウガの香り。フレッシュでありながら官能的、しかも重層的な味わいに驚き、ノンアルであることをつい忘れてしまいました。 次に抹茶が付いた縁から飲んでみると、グラスの中の液体が、まるで違う表情に変貌します。抹茶の苦みが八朔の酸味に陰影を刻み、深みのあるおいしさを引き出すのです。お酒のような味の膨らみには驚くばかりです。 「江戸パレス」の名称には2つの意味が隠されています。1つは、ザ・ペニンシュラ東京のある場所がかつて江戸城の一部であったということ。そしてもう1つは、徳川家康の江戸入府が八朔の日(旧暦8月1日)であった、とのいわれです。ちなみに抹茶には、江戸に伝わった京都の文化と、緑豊かな皇居外苑の風景のイメージが込められています。