勝てばW杯が決まり負ければ3位転落の豪州戦に若手抜擢は必要か…森保監督が可能性を示唆
長友は2月18日の川崎フロンターレとの開幕戦でもベンチスタートだった。代表活動でFC東京から1ヵ月近く離れた影響で、スペイン出身のアルベル新監督が作る新チームに間に合わなかった形だが、森保監督は以前に心配無用を強調していた。 「佑都(長友)のモチベーションに火がつくんじゃないか。試合以上に練習に集中して、自分が出るためにハードワークでアピールしていると思う」 しかし、いまは状況が違う。チーム内で発生した新型コロナウイルスのクラスターをへて、活動を再開させたFC東京が臨んだ2つの公式戦でリザーブにも名を連ねていない。けがの有無を含めて、現時点でFC東京側からアナウンスはない。 不確定要素が多い状況下で森保監督に求められるのは、ほぼ固定されてきたメンバーでオーストラリアと戦えなくなった場合の、いわゆる“プランB”を早急に構築しておく作業になる。厳しい言い方になるが、ただでさえプレッシャーのかかる敵地での大一番に、経験を積ませるという目的で若手有望株を抜擢する余地はない。 若手にA代表戦を経験させたいのならば、実力的に日本と大きな開きがあったミャンマー、モンゴル、タジキスタン、キルギス各代表と戦ったアジア2次予選がベストだった。しかし、国際親善試合を組みづらい世界的な状況にコロナ禍が追い打ちをかけたイレギュラーな日程下で、森保監督はベストメンバーでの戦いを優先させた。 2018年9月の船出後でA代表に招集された東京五輪世代は、冨安、MF堂安律(23、PSV)、MF久保建英(20、マジョルカ)らに長く限定されてきた。 いわばチームを熟成させるために、U-24代表監督を兼任したメリットを最大限に生かさなかった。東京五輪後の昨秋からようやくMF田中碧(23、フォルトゥナ・デュッセルドルフ)、MF三笘薫(24、ユニオン・サンジロワーズ)、DF中山雄太(25、ズヴォレ)、DF板倉滉(25、シャルケ)らを登用したなかで5連勝とV字回復した。 7大会連続7度目のワールドカップ出場へ王手をかけた以上は、まずはオーストラリア戦で白星をもぎ取ることが至上命題だ。若手を登用するのはその後のベトナム戦でも、最大で4試合を組める5月から6月にかけての国際Aマッチデーでも遅くはない。 さまざまな選択肢がスタッフの間で飛び交っている状況を象徴するように、ラージグループのなかには修羅場をくぐってきたベテランも入っていると森保監督は明かした。