熊本県「天然地下水100%が企業誘致の呼び水」に。行政が“サウナ振興”に取り組むワケ
サウナー課長がツアーを企画
自身も30年来のサウナーで、「サウナ公務員」との二つ名で、X(@sarubutarou3)で情報発信している野口課長がツアーの段取りを組む。 定番として組み込んでいるのが、西の聖地とも称される「湯らっくす」(中央区本荘町)。アウフグースイベントが行われるクラシックサウナ、一筋の光だけの暗室で無の境地に達するメディテーションサウナ、大量の蒸気に包まれる大阿蘇大噴火瞑想サウナの三種を用意。水風呂は8人ほどが入れるほどの大きさで、備え付けの「MADMAX」ボタンを押すと、大量の滝が脳天を直撃し、命綱を握って耐え忍べば強烈なととのい感を味わうことができる。 また、老舗旅館の別館に昨年オープンした「湯屋水禅」(同区水前寺)も野口課長の一押し施設。熊本出身の放送作家・小山薫堂さんが「湯道百選」に選出し、和のテイストを打ち出して、木材がふんだんに張り巡らされているのが特徴。サウナストーンには、阿蘇の溶岩石を使用し、火の国の熱気を全身で受け止められる。
熊本地震が契機に
ツアーでは、“サ飯”もセッティングされる。「熊本のソウルフードともいえる『弐ノ弐』の餃子を食べてもらいますね。サウナ後に一杯やるのにちょうどいいつまみなんです」(野口課長) サウナ施設が勃興している熊本。ベテランサウナーの野口課長が振り返る。 「ローカルのいいサウナもたくさんあります。いまも地元の方に人気の田迎サウナ(南区良町)は番頭がいなくて入浴料だけを置いていくほのぼのとしたシステムなんですけれど、とても清潔でサウナも居心地が良い施設。ただ、銭湯サウナがどんどんと減ってしまってきていまして……」 しぼみゆく熊本のサウナシーンだったが、機運を変えたのが熊本地震だった。 「温浴施設は軒並み損害を受けました。ただ、サウナブームの折だったこともあり、湯屋水禅のように補助金をもとにサウナを充実する施設も多く、サウナ環境が充実しました。また、市内では、プライベートサウナのカミノウラ307(中央区南坪井町)といった新施設のオープンも相次いでいて、水の良さもあいまってサウナーから注目されるようになりました。そんな流れもあって、サウナをPRした企業誘致を4年ほど前から始めたんです」(野口課長)