作家・宗田理さん逝去 「肺炎」の原因・症状を医師が解説
肺炎の受診科目
編集部: 肺炎と疑われる症状がみられたら何科を受診すればよいでしょうか? 武井先生: 肺炎でみられる咳、痰、息切れ、喘鳴、胸の痛みなどの呼吸器症状が続くときには呼吸器内科や呼吸器科を受診しましょう。 高齢者では、咳などの目立つ症状がなく、なんとなく元気がないと思ったら肺炎だったということもあります。いつもと違う、何か様子がおかしいと感じたら、かかりつけ医を受診しましょう。 子どもの場合は長引く咳の症状や発熱などの全身症状が認められる場合は小児科を受診しましょう。
肺炎で行う検査
編集部: 肺炎ではどのような検査を行いますか? 武井先生: 胸部レントゲン検査、胸部CTなどの画像検査や、血液検査、呼吸機能検査を行います。 病原微生物の特定には、喀痰培養検査を行います。 間質性肺炎が疑われる場合には、気管支鏡検査や気管支肺胞洗浄、外科的肺生検などの検査で詳しい病気の状態や診断の確定につなげます。気管支鏡検査は気管や気管支の中を観察し、組織を採取して調べる検査です。 気管支肺胞洗浄は気管支鏡を通して注入した生理食塩水を回収して解析します。外科的肺生検は、全身麻酔下で肺の組織の一部を採取して調べます。
肺炎の性差・年齢差など
編集部: 肺炎に性差や年齢差などはあるのでしょうか? 武井先生: 2020年の厚生労働省データによると、肺炎による死亡数は男性が4万4902人、女性が3万3548人です。疾患別の死因順位は男性が4位、女性が5位で女性よりも男性の方が肺炎で死亡する人数が多いことがわかります。 肺炎による死亡率は、75 歳以降は5歳単位で倍増していきます。とくに、男性が増加する傾向にあります。 食物や唾液が気管に入ることで、口の中の細菌が気管から肺まで入り込んで生じる誤嚥性肺炎は、免疫が低下しやすい高齢者に多くみられます。
編集部まとめ
肺胞に炎症が起こる肺炎は、病原微生物の感染による感染性肺炎が大半を占めますが、間質性肺炎などの非感染性肺炎もあります。 免疫力の弱い高齢者や子ども、腎臓病や膠原病の治療中でステロイドホルモン剤を使っている人などは、肺炎を起こすリスクが高く注意が必要です。 高齢者や子どもでは、高熱や咳などのはっきりとした症状がみられないこともあるので、いつもよりも元気がない、何かおかしいと感じたら早めにかかりつけ医や専門医を受診することが大切です。