海外セレブのディープフェイク被害、これからどうなる? セレブとAI技術の行方
ダイエット・グミの広告に使われたゲイル・キングやiPhone15をたった2ドルで販売するというどこから見ても詐欺広告に使われた有名ユーチューバー、ミスター・ビーストらはすぐにSNSやテレビ出演を通じてファンに警鐘を鳴らしたものの、告訴には至らなかった。インターネット上のなりすましを追求するにはまだ法制度が整っておらず、二の足を踏むセレブが多いのだろう。 そんな状況を打破したのは、スカーレット・ヨハンソンだ。昨年秋、「Lisa AI: 90s Yearbook & Avatar」という人工知能画像生成アプリがX/Twitterに投稿した22秒間の広告に写真を使われたヨハンソンは、トルコにある同社を告訴。すぐに広告が取り下げられていて、今後も彼女に続くセレブが増える可能性もある。
一方、裁判までは行かずとも、ディープフェイク映像に不快感をむき出しにしたのは、ニッキー・ミナージュだ。イギリスのITVXの「Deep Fake Neighbour Wars」シリーズの1エピソードで、偽ニッキーと偽トム・ホランドの新婚夫婦がハネムーンから戻った日にマーク・ザッカーバーグが自宅に侵入していて驚いたと語る映像だ。かなり苛立ったようで、「インターネットそのものが削除されればいいのに」とツイッター(現X)に投稿していた。このシリーズにはキム・カーダシアンとイドリス・エルバが公共ガーデンを巡って大喧嘩した後に意気投合するエピソードなどもあり、かなりの人気だが、セレブ本人から映像使用許可は得ていない。
法による規制も期待できる?
かつてはすぐに偽物と見分けられた偽映像もAIや技術の進化で真偽がなかなか見分けられなくなっている上、ディープフェイク映像は年々増え続けているという。もちろん全てが有害なものと決めつけることはできないが、何らかの制限やリスク管理が必要なはず。テイラーの猥褻画像騒動を受け、スウィフティーズは、#protecttaylorswiftをつけた彼女の素敵でポジティブな映像でXに反旗を翻し、連邦政府にディープフェイク規制を要求。アメリカで誰よりも影響力のあるテイラーの危機にバイデン政権も憂慮を示しているので、法案成立が進む可能性もありそう。