鮮やかな復活を遂げたフラハティと“未完の豪腕”コーペック――ドジャースが途中補強で獲得した2投手の「素顔」<SLUGGER>
■新天地で本格覚醒を狙う“未完の豪腕”コーペック 全投球の8割近くを占める豪速球で、有無を言わせず打者をねじ伏せる――コーペックの投球は典型的な剛腕のイメージそのものだ。ただ、コントロールは荒れ気味で、豪快さとともに不安定さも常に同居している。 昨季までは先発だったが、トミー・ジョン手術もあって本格ブレイクとはならず、右膝を手術して10kg近くも減量して臨んだ今季から救援へ本格的に転向した。その結果、4シームの平均球速は前年より3マイル以上も上昇して98.7マイルとなり、これはMLBトップクラスの数字。4シームの空振り/スウィング率33.5%は500球以上投じた投手の最高値と、出力の高さにかけては右に出る者はいないと言ってもいい。 制球難もあって移籍時点の防御率は4.74と平凡だったが、絶対的な武器を持つ投手を好むドジャースにとっては、まさに喉から手が出るほど欲しい存在だったに違いない。しかも、投手の“魔改造”には定評のある球団だけになおさらだ。 実際、ドジャース移籍後は6登板連続無失点を継続中。6.1回を投げて与えたヒットはわずか1本、与四球も1つだけとノーコン病にも改善の兆しが見えている。 プロ入りはレッドソックスで、マイナー時代から最速105マイルを叩き出すなど期待を受けていたが、高校時代の人種差別/同性愛差別的なツイートが発掘されて謝罪に追い込まれたり、人気女優との結婚→半年足らずでスピード離婚したりと、フィールド外の“お騒がせ”が先行する面も否めなかった。 ちなみに、高校時代はNFL最大のスーパースター、パトリック・マホームズとライバル関係で、ある試合ではコーペックが12奪三振、マホームズが16奪三振&無安打投球を演じたことあったという。マホームズはすでにスーパーボウル優勝3回。長く雌伏の時を過ごしてきたコーペックにも、この秋はスポットライトが当たるかもしれない。 文●藤原彬 著者プロフィール ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。X(旧ツイッター)IDは@Struggler_AKIRA。
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