クリフス、USスチールに再提案検討も-労組の支持受け低価格で
(ブルームバーグ): 鉄鋼メーカーの米クリーブランド・クリフスのローレンソ・ゴンカルベス最高経営責任者(CEO)は14日、同業USスチールに対し、日本製鉄による既存の提案よりも大幅に低い価格ではあるが、労働組合の支持を受け再び買収提案を検討する考えを示した。
ゴンカルベスCEOは電話インタビューで、再び買収提案する可能性は、現在の日鉄によるUSスチール買収合意が破談になるかどうか次第だと述べた。買収提案する場合は、日鉄の買収計画を非難している影響力のある鉄鋼労組の支持を得られるだろうと語った。
業界では派手で闘争的なアプローチで知られているゴンカルベス氏は鉄鋼労組との親密さと労組からの支持をアピールし、ブルームバーグ・ニュースとの電話インタビューに全米鉄鋼労働組合(USW)のデービッド・マッコール国際会長を呼び出した。マッコール氏はこの通話で、クリフスによる買収提案の可能性をUSWが支持しているとあらためて強調した。
ゴンカルベス氏はまた、ホワイトハウスと定期的に話をしているとも述べた。ホワイトハウスはコメントを控えた。
USスチールの株価は14日に一時11%安の36.38ドルに急落した。株価は2日間で約18%下落し、2020年以降で最大の下落ペースとなっており、日鉄が提示した1株当たり55ドルを大幅に下回っている。
ゴンカルベス氏は14日のインタビューで、機会があれば「30ドル台」の買収提案を検討すると述べた。クリフスの株価は一時5.9%下落した後、下げ幅を縮小した。
バイデン政権の介入
バイデン氏の声明は、選挙期間中でなければ世間の注目を浴びることの少なかったとみられる企業買収案件への大統領による異例の介入となった。
日鉄によるUSスチール買収発表は、共和党や民主党の議員や労組からの反対論を招いた。バイデン氏の盟友らは、国家安全保障上の懸念と鉄鋼労組組合員の雇用への脅威を理由に、取引を阻止するよう政権に求めた。日鉄はUSスチールがUSWと締結している全ての協定を尊重する方針を示している。