「飛距離あげるから代わりに…」全米女子オープン覇者も欲しがる西村優菜のスキルは?
◇米国女子◇メイバンク選手権 3日目(26日)◇クアラルンプールG&CC(マレーシア)◇6536yd(パー72) 【画像】PGAツアーメンバーのショット! “裏街道”10番スタートの最終ホールとなる9番から、昼下がりに歓声が上がった。笑顔で応えるのは、奥から7mほどの距離を流し込むバーディフィニッシュを決めた西村優菜。この日「67」で通算5アンダーとして、60位から38位に順位を上げた。 6バーディの内訳は、9m近い距離を沈めた後半6番、そして9番を除けば3m前後の距離を仕留めたもの。合計25パットにまとめてスコアメークを下支えした。シーズンのスタッツを見ても、1ラウンド当たりの平均パット数「29.11」でツアー7位につける。 同じ組で回った2020年「全米女子オープン」覇者のキム・アリム(韓国)からは、こんな“お願い”もされたという。「私の飛距離を20ydあげるから、ユナのパッティング精度が欲しい」――。相手は今季ドライビングディスタンス9位(274.40yd)の飛ばし屋。小さな身体で、とてつもない飛距離差を埋めるために必死に磨いてきたスキルだ。「『20ydじゃ足りないから、30ydちょうだい』って言っておきました」と笑う。
グリーン上が冴えての5アンダーだが、懸案だったショット面でも確かな前進を感じ取る瞬間があった。終盤8番(パー3)は左奥にピンが切られ、左に外すのはもちろんNG、右に打っても傾斜ではじかれるシビアなロケーションだった。落としどころピンポイントになる中、6UTで3mほどに絡めた。パッティングこそ決めきれなかったものの、「今までだったら狭く見えて、怖いと思ってしまうシチュエーションでうまく身体が動いてくれていた」とうなずいた。 唯一のボギーは後半4番(パー3)。ティイングエリアが前に出され、96yd設定でピンは左手前だった。「パーフェクトに打たないと行かない」52度のウェッジではなく、PWで距離を落とすカットボールを打ちにいって左に引っ掛けるミス。一朝一夕にはいかない。「今日うまく行ったからといって、明日もうまく行くかといったら、そうでもない。そこは難しいけど、自分の中でできることが増えてきている感覚はある。それを大事にしながら、もう少し修正して、いいゴルフができるように」と最終日を見据えた。(マレーシア・クアラルンプール/亀山泰宏)