「宮迫さんや亮さんに会うと心が痛くなる」闇営業騒動から5年 カラテカ入江は今と昔どっちが幸せか
お笑いコンビ・カラテカの入江慎也さん(47)は、2019年に「闇営業騒動」の責任を取る形で、吉本興業から契約を解消されて芸能界を引退。アルバイト生活を経て、翌20年に清掃会社「ピカピカ」を立ち上げた。現在は全国24店舗に拡大し、多忙な日々を送っている。インタビューの【後編】では、再起を目指す上でなぜ清掃業の道を選んだのか、仕事先で味わった辛い経験、今後の展望について語ってくれた。 【写真】なつかしい! お笑いコンビ「カラテカ」の2人はこちら * * * ――闇営業騒動後に設立した清掃会社「ピカピカ」が4年になります 「毎日をピカピカに」というモットーでやっています。お客様のリピーターを増やすことが大事だと思っているので、従業員に「信用を得よう」ということは伝えています。作業は丁寧かつスピーディーに、ミスをしたらしっかり謝る。ミスというのは、前の仕事が長引いて遅れてしまったり、液体をこぼしてしまったりしたときですね。僕も手紙で謝罪の文書を書くようにしています。芸人時代から先輩に怒られたりミスをしたりしたときは、謝罪で手紙を渡していました。ミスをしないのが一番ですけど、してしまった後の態度、姿勢が大事ですよね。 ――毎日現場に出られているんですか 少し前は毎日現場に出ていましたが、昨年から変わりました。社員のことを考えると、営業マンとして仕事をとっていく方が大事なんじゃないかと。現場に出ている自分に酔っている部分もありました。インスタグラムを毎日更新して、現場で仕事をしていることを発信したいんですけど、このアピールに何の意味があるんだろう、とふと思って。会社の今後を考えて、自分の働き方を変えました。 今は清掃の現場に出るのが週2、3回で、営業に力を入れています。分からないことがあれば、テレアポのやり方を教えてもらったり、清掃の技術が高い従業員にどんどん聞いたりしています。僕が社長ですが未熟な部分がありますし、そこはプライドはないですね。20代前半の従業員に考え方や行動を聞いて、勉強になることがたくさんあります。お互いを高め合ううえで聞かないと損ですしね。 ――改めてですが、清掃業を選んだ理由を教えてください 世の中からなくならない仕事をしようと思いました。自分の中では、それが清掃業でした。初期費用が安いことも理由の一つです。「いい人アピールだろ」って世間に言われたけどそれは仕方ないです。40歳を過ぎて仕事がないわけですし、とにかく必死でした。 ――清掃業の会社を設立するにあたって、どのような準備をされましたか 19年8月から20年7月まで、大手の清掃会社で、時給1200円でアルバイトをさせていただきました。当時、たくさんの人に迷惑をかけて間もなかったので、僕の存在に気づいて嫌がるお客さんもいました。僕は黙って外に出るのですが、社長は必死に僕をかばってくれて。僕のせいで迷惑を掛けてしまっているのに……。社長には感謝の思いしかありません。 ――講演活動もされていますよね はい、「ピカピカ」を全国に広げるためにやらせて頂いています。「どん底からはい上がる力」という講演テーマをリクエストで頂くことが多いです。ただ、はい上がったとは自分は全く思ってないです。宮迫(博之)さんや、(ロンドンブーツ1号2号の田村)亮さんに会うと心が痛くなるし、「僕と出会わなければ違う人生があったのかな」とかいろいろ考えます。 ――もし、芸人を続けていたらどうなっていただろうと考えるときはありますか ありますね。お笑いライブを見に行って若手が輝いている姿を見ると「いいなぁ」って。矢部と舞台に立っていたり、テレビに出ていたりしたときを思い出します。「今と昔のどっちが幸せ?」って聞かれることがあるんですけど、答えられないんですよ。芸人でしか味わえない喜びがありますしね。でも今は若手がみんな面白いので、僕が芸人を続けていてもベテランになったら苦労しただろうなとか…。いろいろ考えますけど、今の方が解放された思いはあります。忙しいし会社のトップとしての責任感はあるけど、精神的には楽ですね。 ――今後の目標を教えてください ピカピカのフランチャイズ店を50店舗に増やすこと、僕がいなくても会社が回るようにすることですね。プライベートでは結婚したいです。11年間、彼女がいないので、まずはお相手を見つけることですね。 ――お忙しいので、なかなかプライベートの時間がないですよね いや、忙しいって言うのはあまり好きじゃないんですよ。忙しくても、そのせいにしたくない。結婚に関してはまず「現実を見ること」ですね。インスタグラムを見て「この子、かわいいですよね」って言ったら、知り合いの社長に「入江君、相手にされるわけないでしょ。現実を見よう」と言われて(笑)。確かにそうなんですよね。浮かれていた自分が恥ずかしくなって……。芸能界できれいな女性をたくさん見てきたけど、外見にこだわりがあるとかはないです。中身が大事ですしね。こればかりは出会いなので分からないですけど、好きな人ができたら、好きになってもらえるように頑張ります。 (聞き手・平尾類) いりえ・しんや/1977年4月8日生まれ。東京都出身。高校の同級生だった矢部太郎と97年にお笑いコンビ「カラテカ」を結成。「友達5000人」というキャッチフレーズや、「アーイエ・オーイエ・オレイリエ! フロムLA!」とラップ調で自己紹介するネタなどで注目され、メディアや舞台に多数出演。人脈を生かし、お笑い芸人やアスリートのセカンドキャリアを支援する「株式会社イリエコネクション」を2015年に設立する。19年に「闇営業騒動」で吉本興業を契約解除に。20年に清掃会社「ピカピカ」を立ち上げ、清掃業や講演活動など幅広く活動している。
平尾類