トム・クルーズが乗った世界一有名なポルシェ「928」がオークションに登場! 映画『卒業白書』の劇中車は意外なほどリーズナブルだった!?
自信たっぷりのエスティメートだが……
このアメリカ文化史に残るポルシェ 928について、ボナムズ社の公式ウェブカタログでは「アメリカ映画史の一部であり、大スクリーンを飾った最も有名なポルシェのひとつであるこの928を所有するチャンス。その代金を支払うためにあなたの家で売春パーティを開く必要があるかどうかは、あなた次第……」という、かなり挑戦的なPRフレーズが謳われるとともに、14万ドル(邦貨換算約2140万円)~18万ドル(邦貨換算約2750万円)という、近年における初期型ポルシェ 928のマーケット市況と比較すると、驚くほど高価なエスティメート(推定落札価格)が設定された。 現在における初期型928の相場価格の3倍以上にも相当する、この自信たっぷりのエスティメートには、この個体が希少なマニュアル車であるという事実もさることながら、やはり今やレジェンド級の世界的トップスターとなった「トム・クルーズが乗ったポルシェ」という史実が大きく影響していることは間違いあるまい。 ところが、モントレー市内の大型コンベンションセンターで挙行された競売では、期待されていたほどにはビッド(入札)が伸びなかったようで、残念ながら流札に終わってしまう。 とはいえ、2021年「バレット・ジャクソン」オークションにおけるハンマープライスが19万8000ドルだったことを思えば、3年後の今回に出品者側が設定したエスティメートも妥当なもの。決して無謀な高望みをしたのではなく、あくまで今回は縁がなかったということなのだろう。
武田公実(TAKEDA Hiromi)