息子をかわいがらず、いつもきつく当たる夫。娘はかわいがるのになぜ…?
子育て中のママ・パパの悩みを臨床心理士・公認心理師に相談する『子育て心理カウンセリングルーム』。今回は、夫と息子の関係についてのお悩みです。「娘と息子。同じ子どもなのに、パパは息子がかわいくない様子」というそのわけは……。 【画像】双子が生まれたら夫が妻に冷たくなった 前から「女の子が欲しい」と言っていた夫。息子には冷たく、娘ばかりかわいがって…… 小1の長男と夫の関係について気になっています。夫は結婚当初から「子どもは女の子がいい。男の子はどうでもいい」と言っていました。第一子は女の子が生まれ、積極的とまではいかないものの育児は抵抗なく手伝ってくれましたし、待望の女児ということで可愛がってくれています。 娘が2歳になる前に第二子となる男の子を出産しました。頼めば面倒を見てくれます。可愛がるというよりも、妻に言われるからやっているという感じです。 娘と比べて明らかに対応がキツいのも気になりますし、暴言ともとれる言葉遣いで叱ることもしばしばあり、その度にやめてほしいと言うのですがあまり聞き入れてもらえません。 息子自身もお姉ちゃんとの対応の違いに気づいているので可哀想です。息子の人格形成に影響があるのではと心配になります。 (42歳・女性・専業主婦) 相談者の家族構成:自分42歳、夫46歳、長女7歳、長男6歳 お困り度:★★★★★★★★☆☆ ■ご主人の子ども時代の体験が影響している可能性も お子さんの性別の違いで、ご主人の養育態度が違っているのはご心配ですね。 一般的に、異性のお子さんは可愛いと感じやすいと聞くことはありますが、周囲が見ていて気付くほどの違いがあるのは、お気付きのようにお子さんたちにとっても、ご家族全体の雰囲気にとっても良いことではありません。 暴言ともとれる言葉遣いがあるとのことですが、そこには、ご主人側の心理的な要因が関係している可能性がとても高いです。親子関係でどのような気持ちになるかは、ご自身が子ども時代にどのように育てられ、どんな体験をしているかに影響を受けます。潜在意識の仕組みとして、自分がされたことは繰り返しやすく、してもらっていないことをするのは難しいと考えられています。 もしかしたら、ご主人は子ども時代に、男の子であるということで辛い体験をしているのかもしれません。ご主人としても、キツく接したくはないけれども、どうしても優しくなれない、どうしていいかわからないということであるなら、ご主人自身の心理的な課題として向き合っていただく必要があります。 ■話し合いで息子さんへの葛藤の理由を探ってみて 対策としては、一度話し合う時間を取ってください。そして、父親と息子という関係に対して、どのような記憶やイメージを抱いているのかを聞いてみてください。 ご主人の心の中に、辛い記憶や、悲しみや怒りといったネガティブな感情が呼び起こされる可能性もありますので、できるだけ受容的な雰囲気になるよう配慮なさると良いでしょう。 息子さんに対するご主人の葛藤の理由が見えてきたら、ご主人の辛さに寄り添いながら、それを息子さんには繰り返さないよう伝えてみてください。その提案やお願いに対して、理解を示してくれるのであれば、様子を見ながら引き続き、時々ご主人の心に関心を向けてあげると良いでしょう。 もしも提案を受け入れてもらえない場合は、養育態度として適切ではなく、娘さんの成長にも良くないということをはっきりと伝えてください。ご主人の行動や声掛けの内容によっては、虐待という法律違反にもつながる可能性があり、そのことをご主人が知る必要があります。 問題が深まるようであれば、ご主人が心理カウンセリングを受けることで改善が期待できる可能性がありますので、そのことも選択肢に入れて話し合いを進めてください。難しいようであれば、まずは夫婦カウンセリングを利用して、第三者からの提案として向き合ってもらう方法もあります。 息子さんの人格形成について気付かれた視点は正しく、とても大切ですので、あきらめずご対応を続けてくださいね。 (文:臨床心理士 大岡 みほ/うららか相談室)