中国、トランプ氏復権で財政政策さらに重要に-全人代常務委8日閉幕
(ブルームバーグ): 中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)常務委員会は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以来の規模となる財政面の景気支援策を巡り採決するため、4日から会議を開いていた。だが、5日投開票の米大統領選でトランプ前大統領が勝利したことを受け、全人代常務委が会議最終日の8日に打ち出す方向となっている構想は、中国当局がこれまで示唆していた措置をはるかに超える可能性もある。
トランプ政権2期目に貿易戦争は拡大するとの見方が出ており、たとえ同氏が示していた60%の関税を下回るものであったとしても、新たな保護主義の時代に備える中国が来年に向けて刺激策を強化するとの期待は強まりつつある。
マッコーリー・グループのエコノミストらは6日のリポートで、「実際の関税引き上げはトランプ氏が示唆していたよりも小さく、狭いものになるかもしれない」と指摘。「その結果、中国は予防的な反応を示さず、関税引き上げを受けてから刺激策の規模を決定する可能性もある」と分析した。
スタンダードチャータードとマッコーリーのエコノミストは、トランプ氏が中国製品に対する関税を60%に引き上げるという考えを実行に移した場合、中国経済の成長率は最大2ポイントの打撃を受けると予測。最終的な関税がそれほど厳しいものではなかったとしても、外需へのショックを打ち消すための財政政策はますます重要になってくる。
全人代常務委は8日、地方政府が抱えるバランスシート外の隠れ債務を借り換える計画を中心としたパッケージを発表する方向だ。また、来年の政府借り入れや支出の規模を巡る手掛かりも提供される可能性がある。
中国では、これまで輸出が経済の主な原動力となってきた。輸出がその役割を果たせなくなれば、国内消費や投資を促進するため、当局は公的支出を強化する必要がある。
スタンダードチャータードによると、トランプ次期政権が中国製品に対する関税を60%に引き上げれば、中国の対米輸出はその後の1年間で最大70%減少するとみられる。マッコーリーは、中国全体の輸出が約8%減少する可能性があると予測している。