ウォルマート 、Amazonに対抗するためオンライン事業を強化中。美容分野と中古品分野を続々拡充
ロジスティクスとフルフィルメントの機能強化
アーカンソー州ベントンビルに本拠を置くウォルマートは、ロジスティクスとフルフィルメントの機能の強化にも引き続き取り組んでいる。たとえば、ウォルマート・ローカルファインズ(Walmart LocalFinds)では、加盟業者の実店舗から直接集荷・配達することが可能になる予定だ。 また、ウォルマートによると、販売者はウォルマートのサプライチェーンを活用して(販売者の)eコマースサイトからの注文にも対応できるようになり、この機能はホリデーのショッピングシーズンに合わせて開始されるという。ウォルマートのサプライチェーンのおかげで、現在ではアジアから全米のウォルマートの倉庫への商品の直接輸送も処理できるようになっている。 さらに、ウォルマートは販売者向けの特典をいくつか発表した。販売者がホリデー向け在庫を9月30日までにウォルマートの保管施設に搬入すれば、繁忙期の保管手数料を免除することが2年連続で発表されたのだ。(それとは対照的に、Amazonは8月初めに繁忙期のホリデーのフルフィルメント手数料を発表。ただし、ウォルマート同様、保管超過料金は廃止されている)。 ウォルマートはeコマース事業がここ数四半期で急速な成長を遂げていることを受けて、こうした諸々のアップデートを行った。第2四半期決算では、オンライン売上が全世界で21%、米国で22%増加したと報告。一方で、競合のAmazonではマーケットプレイスの成長が鈍化しており、オンラインストア部門は直近の四半期で前年比5%の成長にとどまっている。
Amazonの戦略を踏襲するウォルマート
ウォルマート・マーケットプレイスは、同社のオンライン売上の全体的な成長の主要な推進力となっており、過去4四半期の各四半期で売上が30%以上増加したという。また、同社によると、Walmart.comに出品する販売者数は昨年度に20%増加したようだ。この成長は同社のセラーサミットの参加者数の多さに反映されており、「販売者数は昨年の3倍以上だった」とモッサー氏はモダンリテールに語った。 イーマーケター(eMarketer)のリテールアナリストであるスカイ・カナベス氏は、次のように述べる。「ウォルマートは買い物客、とくにウォルマートプラス(Walmart+)会員にマーケットプレイスでの購入を引き続き奨励するために、マーケットプレイスの価値をさらに高めることを目指している。それにより、さらに多くのブランドや販売者を惹きつけることができる。同社は、成功を収めるマーケットプレイスを構築するためのAmazonの戦略をまさしく踏襲している」。 ウォルマートのプレミアムビューティの立ち上げを例に考えてみよう。クリニーク(Clinique)、キールズ(Kiehl’s)、トゥー フェイスド(Too Faced)などの高級美容ブランドがここ数カ月でAmazonと契約を結んだことは、以前モダンリテールで報じた。注目すべきなのは、高級ブランドはかつてAmazonに対して偏見を持っており、それゆえにAmazonを避けていたことである。高級ブランドのAmazonへの参入というこの大変化は、ウォルマートにとって代償を伴うものだ。 モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)によると、ウォルマートは現在米国最大の美容品小売店であるにもかかわらず、2025年までにAmazonにその座を奪われると予想されている。また、イーマーケター(eMarketer)によると、美容品の消費者はウォルマートのほぼ2倍の割合で、オンライン購入をAmazonでしているという。 グローバルデータ(GlobalDat)のリテールアナリストであるニール・サンダース氏は、ウォルマートがオンラインプラットフォームへの投資を継続するにつれ、「オンラインで規模を拡大したいブランドにとってウォルマート・マーケットプレイスはいっそう現実的な選択肢になる」と述べ、こう続ける。 「Amazon同様、ウォルマートが素晴らしい販売原動力であることは否定できない。ウォルマートにはトラフィックがあり、コンバージョン率があり、人々を惹きつけるブランド名がある」。