「いきなり中井貴一くんと二人きりに」衝撃の『ふぞろいの林檎たち』デビューから45年 高橋ひとみが振り返る役者生活の原点「いまだに超えることができない」
役者としてのデビュー作が大人気の連続ドラマで、いきなりのベッドシーン。どこか泰然自若で演じたように見える高橋ひとみさん。その影には寺山修司と山田太一というふたりの巨匠の深い愛情があったといいます。(全5回中の2回) 【画像】「肌の透明感がすごい」男子とはほとんど話したことがなかったという18歳当時の高橋ひとみさんのスナップ写真や寺山修司さんとの貴重なツーショット ほか(全15枚)
■男性とほぼ話したことがないのに「デビュー作は風俗嬢の女子大生役」 ── 1983年に放送された『ふぞろいの林檎たち』では、ミステリアスで個性的な少女の役を魅力的に演じ、鮮烈なデビューを飾られました。「風俗でアルバイトをする女子大生」という役どころは、難しくなかったですか?
高橋さん:それまで中学・高校と女子高で、男の子ともほとんど口を聞いたことがないような環境でしたから、最初はとまどいがありました。でも、「こういう役柄であって、私じゃないから」と自分に言い聞かせ、「エイヤッ」と無我夢中でやりましたね。 ただ、あまりにもわからなさすぎたので、「役づくりのために、一度お店に見に行かせてください!」と、スタッフさんに頼んだことがあったんです。でも、「大丈夫!僕たちが代わりに見てくるから」と言われて、「あら?」と、ちょっと思いました(笑)。
撮影は緑山スタジオの個室で行われたのですが、私たちが緊張しないようにと、カメラを天井に備えつけ、監督とカメラマンは部屋の外に出て、中井貴一くんと2人きりにしてくれたんです。 「スタジオ内や廊下のモニターもすべて消すから安心してね」と言っていただき、ふたりで「頑張ろうね!」と励まし合って、無事に撮影を終えました。 ところが、部屋から出てきたら、廊下に立っていた守衛さんが私の肩をポンと叩いて、「いやあ、よかったよ~」と…。
── モニターはすべて切られていたのでは…? 高橋さん:それが、消されていなかったんです!私たちが気持ちをつくりやすいようにという配慮だったのですが、「話が違う!」と(笑)。でも、「よかったよ」と、褒めてもらえたので、ホッとしました。