動物写真家・岩合光昭に聞く 「ねこ」が持つ魅力とは?
池袋東武百貨店で行われている動物写真家・岩合光昭さんの写真展「ねこ歩き」(4月2日~8日)。平日でも多くの“ねこファン”が詰めかけ、週末は大入りになる。会場には、さまざまな「ねこ」たちが飾られている。あくびする「ねこ」、人と戯れる「ねこ」、「ねこ」と戯れる「ねこ」、時には犬とも戯れる。その1つ1つの表情に、訪れる人が惜しみなく笑顔を見せる。笑いが絶えない。会場をあとにする人たちは、どこかうれしそうだ。「ねこ」には、なぜか人を笑顔にする魅力がある。その魅力について、「ねこ」たちの写真を撮影した当本人、岩合光昭さんに話を聞いた。
「『猫ってなんなんだろう』、『知りたい』と思って知ろうとする。そうしているうちに深みにはまる。そういう謎なところが猫の魅力じゃないかな。今はその深みにどんどん、はまってしまってますよ」。岩合さんは、笑顔で話す。 岩合さんが、初めて意識して猫を撮影したのは、大学生の頃。電柱の下に置いてあった段ボール。中にはオスとメスが一匹ずつ入っていた。「その猫たちを撮ろうとしたのが最初だと思う」。もともと、動物写真に興味を持っていたという。「高校時代に、ヨーロッパの写真家の作品をみていて、『こういう猫の写真を撮りたいな』と、思っていたことがありました。だから、猫たちにカメラを向けたんですが、これがなかなか難しい。うまくとれなかったんです」と、当時を振り返る。その日から今日まで、45年以上、猫を撮影し続けている。
動物写真家の父の影響もあり、動物写真は幼い頃から馴染みがあった。それでも、動物写真家を目指していたわけではなかった。「写真家には関心があったけど、若い頃は動物を撮ろうとは思ってなかった。ファッションとか、ヌードとかね(笑い)。でも、父の手伝いでガラパゴスに行ったとき、20歳の誕生日をガラパゴスで迎えたんですけど、大自然を見て、これを撮ろうと思った。自然なものを。きらびやかなものは、一見カッコ良く思うけど、“一見”でしかない。大自然には敵わないな、と思った」。ガラパゴスでの体験が、今の道へ向かわせることとなる。 その大自然の撮影の中で、ライフワークとなったのが猫だった。これまで、世界20数カ国で猫を撮影してきた。「どこの国に行っても、三毛やブチなどが同じ猫がいる。三毛やブチは、どうしてそういう毛並みになるのか、研究でもわかっていないらしんです。やっぱり猫には謎が多い」と岩合さん。