ハチロクが電気自動車に? トヨタ「カローラレビン」のBEV版に乗った!
バッテリーはレクサスのプラグインハイブリッド車(PHEV)「NX」のものを使っている。電池容量は18.1kWhだ。航続距離は100km程度で普通充電のみに対応する。その体躯は意外と大きく、取り払ったリアシート部分から荷室部分までの広い面積を占めている。
トランスミッションは「GR86」用の6速MTで、モーターの後方にかませてある。普通のBEVでは機能的に不要となるミッションをあえて載せたのは、BEVにコンバートしたことで乗り味が急に変わってしまうのは悲しいことであり、やっぱり五感で操る楽しさを提供したいという開発者の思いを盛り込んだからだ。
これまで見てきたとおり、PUは新しく作ったものではなく、全て流用品だということがおわかりいただけたかと思う。 ■内外装はスパルタン! ボディサイドには「電気じどう車(実験用)」の文字が。フロント、サイド、リアの「LEVIN」のエンブレムは真ん中の「EV」の部分(電気自動車はBEVともEVとも略す)を緑色に、「TWIN CAM 16V」のロゴは「NON CAM 0」に変えてある。ボンネットはドライカーボン製で、ホイールは『頭文字D』と同じレーシングサービスワタナベ製の8スポーク、タイヤは185/60R14サイズのブリヂストン「ポテンザRE71RS」でかためている。
インテリアは軽量化を徹底するため、ドア以外の内張りを全て取り払った剥き出しの状態。車内には太いロールゲージを張り巡らせている。シートはフルバケットのBRIDE製でポジションは低め。ナルディのステアリングはホーンボタンがTRDのものに変えられている。総じてG16Eよりもスパルタンでレーシングカーのような仕上がりだ。
■4AGのハチロクを電気で再現? キーをひねってモーターをスタートさせる仕草はエンジン車と一緒。ちょっと長めのクランキング(エンジン車ではないので言葉は適切ではないかもしれない)を行うことでスイッチが入る。 1速に入れて駐車場を出るために曲がろうとすると、リアからいきなり「ガシャガシャガシャッ」と大きな音が。これは効きが強めのLSDが暴れるのと、ラテラルロッド(リアアクスルと車体を結ぶ棒)からも音がするためだ。聞けばこのBEV版、ガチガチのドリフト仕様に仕上げてあるそう。モリゾウさん(トヨタの豊田章男会長)に乗ってもらうためには、ドリフト走行やドーナツターンができるクルマにしなければ、ということで、クルマ好きの社内有志(たくさん手が上がったらしい)が張り切って製作したそうだ。静かでスムーズに走るBEVのイメージの対極にあるクルマだと言っていい。