81歳、現役デザイナーの「仕事の極意」4つ。長く働き続けるために大切にしていること
日本を代表する世界的ファッションデザイナーの鳥居ユキさん(81歳)。19歳でデザイナーデビューしてから60年以上、活躍を続けています。ここでは、鳥居さんに長く仕事を続けるうえで、大切にしていることをお聞きしました。 【写真】モデルさんと打ち合わせをする鳥居ユキさん
1:新しいことに挑戦してワクワクする
新しいことに挑戦するのは大好きです。デジタルツールも面倒だなんて思わないし、むしろワクワクしちゃいます。 インスタグラムでは、私自身のコーディネート、好きな花やインテリア、日々の暮らしで美しいと感じたもの、興味を持ったものなどを発信しています。ハッピーな姿をお客さまに直接お届けできるなんて、本当に便利な世の中ですね。 コロナ禍で始めたオンライン接客も楽しい。遠方にお住まいでお会いしたことのない長年のお客さまとオンラインでつながり、思いを伝えたり、コーディネートをレクチャーしたり。距離を超えて時間を共有できるなんて、すごくうれしいことね! 心をやわらかくしておくと世界が広がります。
2:仕事で重要なのは「スピード感」
母はよく「洋服の仕立ては、チクチクと時間をかけて縫う人より、サッと縫い上げる人の方が上手よ」と話していました。 仕事をしていく上で、「スピード感」は重要です。言い換えるなら「鮮度」「勢い」、それから「判断力」でしょうか。常に感度を高くし、やる気を携えていないと、スピード感は保てません。 私が少しでも迷ったりしてスキを見せると、すかさず「鮮度が落ちた?」と母に注意されたものです。
3:逆境を自分の力に変えればなんでもできる
デビューした19歳から年2回、ずっと休まずにコレクションを発表しています。一度も仕事のペースを落とそうと考えたことはありません。それが私の使命ですから。 昔も今もデザイン画を描き、同時にオリジナルの生地をつくり、頭のなかのイメージを具体化します。まとまってきたらトルソーで試して、発表の6か月前から仮縫い作業。全部自分でやっちゃうの。 ショーの演出、音楽や照明も私が決めています。モデルの歩き方や動き方も「こんな感じ」ってやって見せる。 「無理です、できない」と言われると、ますます力が湧いてくる。どんなに大変でも「なんでも出来(でか)す!」という気持ちでやると、絶対に成し遂げることができるのです。
4:仕事のマンネリ化防止には今の空気を感じることが大事
私にとって服づくりとは、暮らすことや生きることと同じです。ですから365日、頭のなかはデザインのことばかり。もう60年以上続けていますから、知りすぎてしまって、逆にそれが邪魔になることもあるのです。手慣れた感じで、なんとなく対処してしまうとかね。 そうならないためには、常に新しく感じられる方法を考え出し、トライするのみ! たとえば若い世代の雑誌に目を通す。若いファッションを否定しないの。そうして多面的に今の空気を感じることも大事です。するとずっと後になって、そのファッションが頭のなかでよみがえり、意外なアイデアにつながる場合もあるのです。
ESSEonline編集部