伊藤英明 親になって事務所社長の愛を改めて実感した
なぜ、ちょっと会ったくらいの僕にそこまで熱のこもったことを言ってくれたか。明男さんから直接言われたことはないんですけど、後々、テレビ局とか映画会社とか周りの人から漏れ伝わってきたところによると、「すごいのが入ってきそうだ」と言ってくれていたみたいでして。何かを感じ取ってくださっていたのか。 だから、今から思うと、ド新人なのに、いきなりの抜擢が多かったんです。当時はそれも分からずにやっていましたけど、今考えると、ありえないくらいの番手の仕事をやらせてもらっていたなと。となると、それだけ、社長が頭を下げてくれていたということですからね。見い出してくれて、あきらめずに誘ってくれて、そして、いい仕事をこれでもかと与えてもらって。とにかく、とにかく、感謝しかないです。 当時は僕も若かったので、正直、迷惑をかけたこともあったんですけど、本当に根気よく、親のように、遠くから見てくれていました。何かがあった時に「そんなことやるな!!こうしろ!!」じゃなくて、本人がどう思っているかをすごく大事にしてくれる。明男さんのもとにいたからこそ、今もこの仕事をしているんだと心底思います。 あとね、ま、あんまり褒めてばっかりでもアレなんですけど(笑)、男気の塊のような人なんです。例えばね、あるCMの仕事があったんです。肉体を見せるようなCM内容だったんですけど、決まったのが急だったこともあり、体を作るのに間に合わない期間だった。ただ、僕はやる以上はしっかりとやりたいという思いがあったので「10日間、時間をください」と言ったんです。ただ、もうすでにその撮影スケジュールでスタッフさんも準備をしているし、流れも決まっている。 で、これも後から聞いたんですけど、それを受けて明男さんがCMの一番偉い関係者さんに「その流れでできませんでしょうか?もし、その流れにすることによってお金が発生したならば、それは、うちが全額負担しますので」という掛け合ってくれて、結果、時間をもらえたんです。