執拗な誹謗中傷にあっても「この戦争に関する発信はやめない」 東野篤子教授が貫く思い
●自分への攻撃に屈して、発信をやめたら私はおそらく一生後悔する
――何を言っても攻撃材料になってしまう中、山のような攻撃が来ると心身に影響が出るのではありませんか。 東野:あまりにひどい攻撃が殺到したり、メールボムと言われるような、私のアドレスを勝手にどこかに登録して次々にメールを送らせるような攻撃を受けて数万件ものメールが届くといった被害を受けた際は、さすがに心身に不調をきたしたことも何度かありました。 しかしそれだけと言えばそれだけ。感覚が麻痺しつつあるのかもしれませんが、長引く戦争で深く傷ついているウクライナ関係者に攻撃が行くよりは、私がそれを受け止めたほうがましだと思うのです。 ロシアによるウクライナ侵攻について、私は「ロシアに侵略の果実を与えてはいけない」と言い続けていますが、SNSの誹謗中傷についても同じなのではないかと思います。実際にロシアは何らかの果実を手にするでしょうが、それは間違ったことであるという認識を広めなければなりません。 私への攻撃が止むことはないと思いますが、それに屈して発信をやめたら、私はおそらく一生後悔するでしょう。私に誹謗中傷をおこなっている人たちに対しても、私が発信そのものをやめることになれば、彼らに成果、果実を与えることになります。このような被害を被る人間は私で最後であってほしいと思います。負けずに発信を続けることで、ネット中傷の現実を皆様に知っていただき、改善のための議論が少しでも活発になればと思っています。