池袋暴走事故・飯塚幸三受刑者が死亡 妻と娘を亡くした松永拓也さん「加害者の経験も無駄にしない」【news23】
松永さん 「莉子は僕の怒った顔を見たことがないですから。2人への『愛している』と気持ちと『ありがとう』という感謝の気持ちで心を満たしていたい」 飯塚氏は2021年に禁錮5年の実刑判決を言い渡され、刑務所に収監されました。 裁判終了後、拓也さんは再発防止活動に専念し、全国で講演を続けました。 松永さん(2022年12月) 「誰しもがこの(被害者の)立場にも加害者にもなり得る。皆様に当事者意識を持って、愛のある運転や交通安全意識を遵守していただければありがたいなと」 ■飯塚氏からの手紙 ブレーキとアクセルの踏み間違いを認める 事故から5年を迎えた2024年、松永さんの気持ちが変化するきっかけが訪れます。2月、飯塚氏からの手紙を受け取ったのです。 飯塚氏は手紙を書いた理由について、こう綴っていました。 松永さん 「『いずれは手紙でお詫びできなくなるとおそれて僕に手紙を出した』という趣旨で書いてある。これは本心だと思うんですよね。収監されて、そういう状態でなられている」 そして… 飯塚氏からの手紙 「心からお詫び申し上げます。暴走は私の勘違いによる結果だったことを理解・納得」 飯塚氏は事故の原因がブレーキとアクセルの踏み間違いだったことを認めたのです。 松永さん 「もう、彼のことを責めるようなことは言わない。まあ、許せるかどうかっていうのは、言えないんですけど。でも、もう責めるようなことは言わないです」 ■飯塚氏との最後のやりとり 面会で、絞り出すように… さらに5月、強く希望していた飯塚氏との面会が実現。体調が悪化し、自分で話すことがほとんどできなかった飯塚氏が、唯一絞り出すように話したのが… 飯塚氏(2024年5月の面会時) 「高齢ドライバーに早く免許を返すよう伝えてほしい」 このやりとりが、最後になりました。 半年後の10月26日、飯塚氏は老衰のため死亡しました。93歳でした。 松永さん 「彼(飯塚氏)が亡くなる前に、面と向かって話ができてよかったなって。彼が僕の再発防止に対する思いにも応えてくれたから、今後、僕が生きていく中で、怒りとか憎しみだけじゃない感情で生きていけるきっかけを作ってくれたかな。そういう意味では感謝している」