池袋暴走事故・飯塚幸三受刑者が死亡 妻と娘を亡くした松永拓也さん「加害者の経験も無駄にしない」【news23】
飯塚氏が面会に応じてくれたことについて、「感謝している」と話しました。 松永さん 「私はある意味託されたと思ってるんですよ、彼の言葉を。彼の後悔とか経験とか言葉を託してもらったと思っているので、彼の後悔を無駄にしないように。飯塚さんが加害者になってしまった経験も、僕は無駄にしないように生きていきたいなって」 ■取材記者「飯塚氏の死が松永さんが次に進むための糧になるのでは」 小川彩佳キャスター: 家族を失った松永さんは、飯塚受刑者に対してさまざまな感情があったと思いますが、どのような気持ちの変化を感じますか。 取材した調査報道部 守田哲 記者: 松永さんの中には、妻と娘を亡くした松永さん、そして再発防止活動に取り組む松永さんという2つの松永さんがいるわけです。 実は、松永さんは飯塚氏本人に会う前に飯塚氏の長男に面会し、長男から、父親の運転を止めることができなかった後悔や、家族に対する激しい誹謗中傷というのを聞いていました。私もその場に同席していましたが、お互いが気遣っている様子が非常に印象的でした。 長男や飯塚氏本人との面会も含め、こうしたやり取りというのは相互理解と共感に基づいたやり取り、そのプロセスだったのではないかなと考えています。したがって、飯塚氏の死が、松永さんにとって次のステップに進むための糧になっているのではないかと思いました。 東京大学准教授 斎藤幸平さん: 飯塚氏も最初は車のせいにしていましたし、“上級国民”という非難もあって、ネットでは“クソじじい”扱いされていました。 今回、松永さんは最終的に「若者と高齢者の対立構造になることを望んでいません」とコメントしていて、被害者の家族として出すのは本当に大変だろうと感動しました。 その中で、飯塚氏も控訴を諦めたり、責任を認めるようになっていきましたが、飯塚氏が大きく変わるきっかけがあったのでしょうか。 取材した調査報道部 守田哲 記者: やはり飯塚氏の中でも大きな葛藤はあったと思います。しかし、自分が起こした結果の重大さ、司法から下された厳しい判断、そして、収監された刑務所の中で自分に向き合うというプロセスを通じて、やはり死ぬ前に松永さんに直接謝らなければいけない、過失を認めなければいけないという心境に至ったのだと思います。 そして、飯塚氏は松永さんと面会した後に急激に体調が悪化してるんです。飯塚氏にとって、松永さんと会うことが、死ぬ前の最後の仕事だったのではないかと私は考えています。 ========== <プロフィール> 斎藤幸平さん 東京大学准教授 専門は経済思想 社会思想 著書『人新世の「資本論」』が50万部突破 守田哲 池袋暴走事故直後から遺族と加害者家族を継続取材 調査報道部「特別報道班」キャップ
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