『就活くん』が決勝点… 東洋大を初のファイナル進出へ導いたヒーローの頭はその瞬間、真っ白に【全日本大学サッカー】
◇25日 全日本大学サッカー選手権決勝ラウンド準決勝 東洋大1―0桐蔭横浜大(栃木・栃木県グリーンスタジアム) 東洋大を大会初めてのファイナル進出へと導いたのは”就活くん”だった。後半33分、MF増田鈴太郎(りんたろう、4年・東海大相模)が右CKのボールにヘッドで合わせ、0―0の均衡をついに破った。 その瞬間、ヒーローの頭の中は真っ白になったようだ。「あんま、覚えていないです」と振り返り、「本当にうれしかったです」とゴールの余韻に浸った。 攻め込みながらも、相手のゴールをなかなか破れずにいた。イライラしてもおかしくない状況だった。それでも、「じれて、カウンター一発でやられるっていうのが、一番いやな形だったので、それだけは避けながら、焦らずに1個(1点)取れば勝てるという感じでいました」と、冷静なメンタルをキープ。増田自身も後半の立ち上がりにチャンスを逃していたが、気持ちを切り替え、千金弾につなげた。 プロ志望であるものの、加入先がまだ見つからない。今大会は「自分の人生をかけてやっています」という大学生活最後の舞台。この日の一発は「ここまで想像以上に結果を出せています」と自己評価する今大会自身3点目だった。 「この大会で結果を出して、オファーをもらうしか、僕が来年サッカーをやる道はないので、ラスト1試合の決勝のところでまた結果を出して、(プロのスカウトに)目にとめてもらえればいいかなという風に思います」と意気込む。「ここが最後の就活(の場)ととらえてやっています」と決死の覚悟で臨んでいる。 今季の東洋大は関東大学サッカー1部リーグ(東京中日スポーツ後援)でチーム史上最高の成績となる3位に入った。そして、その勢いを今大会でも維持。チームも増田も好調だ。「今までサッカーをやってきて、こんなに負ける気がしないチームは初めてです。最後も自信を持って戦って、優勝できれば(いい)と思います。(決勝も)本気で勝てると思っているので、自信を持って、勝ちにいきたいです」と、言葉に力を込めた。就活最終章となる決勝は28日。「いい準備をして」、初の日本一へと突き進む。
中日スポーツ