「恥ずべきは加害者」 集団性暴力被害の女性がフランスに与えた勇気
夫が薬物で昏睡(こんすい)状態にした妻を約80人の男に性的暴行させたとされる事件をきっかけに、フランスで性暴力への怒りの声が広がっている。19日には夫を含む51人の被告全員に有罪が言い渡された。実名で法廷に立った被害者のジゼル・ペリコさん(72)の姿が、性暴力と闘う勇気を社会に生んでいる。 【写真】自らが被害者になった性的暴行事件の判決公判を終えて記者団の取材に応じるジゼル・ペリコさん=2024年12月19日、フランス南部アビニョン、マチュー・ボノム撮影 事件の判決公判は19日、南仏アビニョンで開かれた。仏紙ルモンドによると、ペリコさんの夫のドミニク被告(72)は2011年から20年まで、鎮静剤で意識を失わせたペリコさんをネットで募った少なくとも83人の男に自宅で性的暴行させたとされる。公判ではドミニク被告と身元の判明した50人が強姦(ごうかん)罪などに問われた。 裁判所や検察はプライバシーの保護などを理由に公判を非公開にする方針だったが、ペリコさんが公開を要求した。ドミニク被告が保存していた性的暴行の動画や写真についてもペリコさんが法廷で証拠として示されることを求めた。 ペリコさんは証人尋問で公開裁判を求めた理由について、「レイプの被害に遭ったすべての女性が『ペリコさんがやったのだから、私にもできる』と言えるようにしたい。恥じるべきなのはレイプの被害者ではなく加害者だ」と述べた。
朝日新聞社