保険会社の「控除証明書」を誤って捨ててしまった! 保険料が少ないなら「年末調整」に出さなくても“損”しない?「年収500万円」の会社員のケースでシミュレーション
毎年9~10月ごろに、加入している保険会社から届く「控除証明書」は、年末調整に必要な書類です。もし、控除証明書を紛失して年末調整に提出しなかった場合、所得税額などにどのくらい影響が出るのか、金額を試算します。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
控除証明書は、必要不可欠な書類?
医療保険・生命保険などに加入している人に毎年届く「控除証明書」。この控除証明書の有無で、来年度の所得税などの課税金額が変化します。 適用されるのは「生命保険料控除」で、契約締結日が平成24年1月1日以後は「新契約」、それ以前に契約締結したものは「旧契約」と区分されており、生命保険料控除ができる金額がそれぞれ異なります。 控除証明書には新契約・旧契約それぞれの金額が書かれていて、合計金額を生命保険料控除として申請できます。旧契約での年間支払保険料が2万5000円以下・新契約での年間支払保険料が2万円以下の場合では、それぞれ全額が控除可能です(年間を通じて支払った保険料の合計額によって、控除できる金額区分が設定されています)。 生命保険料控除の上限額は12万円で、保険料をそれ以上支払っていても超過した分は控除されません。
控除証明書の有無で、課税額は変わる?
それでは、控除証明書の有無で所得税などの課税額がどのように変わるのか、試算してみましょう。 <試算例> 年収500万円の40代会社員で、配偶者(扶養家族で年収103万円以下)との2人世帯のAさん。令和2年からAさんが加入している医療保険(新契約)の掛け金は、年間4万8000円(月額4000円)です。 (1)控除証明書を紛失して提出しなかった場合の、所得税などの主な課税見込み額 厚生年金:45万180円 健康保険料:28万4868円 雇用保険:3万円 所得税:9万6700円 住民税:20万8400円 手取り見込み額:393万1152円 (2)控除証明書を提出した場合の、所得税などの主な課税見込み額 厚生年金:45万180円 健康保険料:28万4868円 雇用保険:3万円 所得税:9万5100円 住民税:20万5800円 手取り見込み額:393万6752円 控除証明書を提出すると、手取り額が約5600円増える試算結果になりました。このように、控除証明書の有無で「課税見込み額」が変わってきます。 (3)控除証明書を提出して定額減税を加えた場合での、所得税などの課税見込み額 令和6年度は「定額減税」が行われているので、合わせて試算してみましょう。定額減税は、所得税では1人3万円・住民税では1人1万円が減税され、扶養家族(配偶者など)の分も加算されます。 厚生年金:45万180円 健康保険料:28万4868円 雇用保険:3万円 所得税:9万5100円-(本人の減税3万円+扶養家族の減税3万円)=見込み額3万5100円 住民税:20万5800円-(本人の減税1万円+扶養家族の減税1万円)=見込み額18万5800円 手取り見込み額:401万6752円 このケースでは定額減税によって、手取り額が8万円上昇しています。