新潟日報、生成AIで売上高100億円狙う 記事データ使い集客支援も
新潟日報社は2024年11月1日、新たに設立した子会社、新潟日報生成AI研究所(新潟市)を通じて、新聞記事データベースと生成AI(人工知能)を連携したサービスをスタートした。記事データベースには、新潟日報の記者が携わった、新潟日報に著作権がある記事のみを収録している。例えば「どの会場でいつ開催するとたくさんの来場者を集めることができるか」と問うと、過去に開催した同種のイベントで成功した事例の記事を参考に、回答してくれる。 【関連画像】鶴間・新潟日報生成AI研究所代表取締役社長(中央)とエクサウィザーズ創業者の石山洸氏(右)。左はデータベースサービスの最初のユーザーになったダイニチ工業の野口武嗣取締役 初期導入費用は無料で、毎月3万円の使用料で約200回利用できる。企業などで本格的に使う場合、初期費用10万円、月額基本料金7万円で30人まで利用できる「DX戦略プラン」もある。初期費用無料でAIアバター(分身)による営業や窓口対応など、自社担当者と顧客とのやりとりを実践的にロールプレイングするサービスも利用できる。この費用は1時間当たり3000円である。 新潟日報生成AI研究所の資本金は2億5000万円。本社である新潟日報の資本金が1億4250万円なので、新規事業にかける意気込みは大きい。新潟日報では、これまで億単位の出資を伴う新規事業を手掛けることはなかった。この新規事業によって生き残りを図ろうという考えだ。 「3年後には単年度黒字、10年後には100億円の売上高を目指している」と鶴間尚・新潟日報生成AI研究所社長は話す。新潟日報の売上高が約140億円強なので、新規事業が順調に進めば、メディア事業の売上高を追い抜くのもそう遠い先のことではない。 ●エクサウィザーズ石山洸氏との出会い 新潟日報の経営陣が生成AIの可能性について理解したのは24年5月。AI開発のエクサウィザーズ創業者でチーフAIイノベーターの石山洸氏から生成AIについて説明してもらったときだ。 新潟日報生成AI研究所の鶴間社長は「はじめは、フェイク(嘘)とかハルシネーション(AIが事実に基づかない誤った情報を生成する現象)とか、どちらかというと生成AIについてマイナスイメージがあった。しかし、石山さんの話を聞いてものすごく可能性を感じた。生成AIの活用で社会課題の解決に取り組みたいというエクサウィザーズの考え方にも非常に共鳴した。生成AIの活用で地域の課題を解決したいと思うようになった」と説明する。