なぜプロ野球では内紛劇が起きるのか?
中日の沖縄・北谷キャンプで起きた内紛問題が大きな騒動になった。スポーツメディア各社の報道によると14日の練習メニューで、左腕エース、大野雄大(28)のメニュー欄が一人だけ「空欄」となっていたことが発端となり、報道陣がその動きに注目している中、朝倉健太2軍投手コーチ(35)が、大野の練習参加を許さず“内紛”と報道されることになった。両者はすでに和解した様子だが、11日に大野に科せられた練習メニューを巡って両者の意見が相違、衝突していた伏線があったようだ。 プロ野球では、この手の内紛や内部衝突問題が、大なり小なりどのチームにもあるが、通常、あまり表ざたにならない。昨年、ヤクルトのベンチでストッパーだったオンドルセクが、味方守備のミスをベンチ内で責めたてて暴言、いざこざを起こし、それまでの反抗的な態度も重なって契約を解除された例があるが、これも異例なケース。チームマネジメントの立場から見れば、メディアやファンの目に触れる場所でのトラブルは、できるだけ避けなければならない。 元西武、ヤクルトで監督を務めた広岡達朗氏は、ずっと「現在のプロ野球の最大の問題は、ちゃんとした指導のできるコーチがいないこと。まず勉強をしていないし、威厳をふりまわすことだけが、コーチだと勘違いしている。根気よく、技術の基本だけでなく、人間教育ができる人間がいない」と問題点を指摘している。 今回の中日のケースも、それにあてはまるのかもしれない。 大野にも問題はありどっちもどっちだが、朝倉コーチが報道陣やファンが見ている前で、大野を練習から外すなど、あからさまな態度を見せてしまったのが、問題のひとつ。報道陣に見えない投手陣の控え室となっているプレハブ小屋内で、叱れば良かっただけの話。しかも、伏線が数日前に大野が練習をさぼった、さぼらないに対して、特守という罰を与えようとしたことが原因とも聞く。まだコーチ2年目で経験も浅い朝倉コーチの超体育会系の指導手法にも問題はあるだろう。 しかし、これも氷山の一角。プロ野球では歴史的に指導者と選手間での衝突、内紛が絶えない。 中日で言えば、落合博満氏が、現役時代に当時の星野仙一監督を批判をして大問題に発展したことがある。古くは、エモやんこと江本孟紀氏が、阪神時代に当時の中西太監督の投手交代のタイミングも含めた起用法に対して「ベンチがアホやから野球がでけへん」と発言して、結果的に引退することになった。 清原和博氏が、巨人時代に打順降格に激怒して、ホームラン後のベンチ前での握手を拒否したケースも。横浜DeNAでは中村紀洋氏が「自分の打席で塁上の走者を走らせないで集中させて欲しい」と訴えたことが采配批判とされ2軍降格された。楽天では現マリナーズの岩隈久志がKO降板後にベンチ内に戻ってくるのが遅かったことを注意した野村克則バッテリーコーチ(現ヤクルトコーチ)と小競り合いになった例もある。 そもそも、プロ野球での衝突、内紛は、なぜ起きるのだろうか。