【2024年版を発表!】世界が注目した日本人100─漫画・アニメ部門「少女漫画の女王」萩尾望都の偉大な功績
2024年に世界が注目した日本人「漫画・アニメ」部門 1 萩尾望都(漫画家) 2024年1月、フランス南西部の街アングレームで開催されたヨーロッパ最大級の漫画の祭典「アングレーム国際漫画祭」で、特別回顧展が催された萩尾望都。それに合わせて渡仏した萩尾に、フランス中の漫画ファンが沸いた。仏紙「ル・モンド」や「フィガロ」が彼女のインタビュー記事を掲載したほか、多数のメディアが萩尾を「少女漫画の女王」などと紹介した。 【画像】2024年に世界が注目した日本人「漫画・アニメ」部門の全10人を見る 1949年生まれの萩尾望都は、「70年代に日本の少女漫画を刷新した世代の代表的漫画家の一人であり、暗いトーンのSF作品や恋愛物語、ファンタジーを通して、『第九芸術』と呼ぶべき漫画という芸術を一変させ、それまでの古典的なコマ割りを打ち砕いた」とル・モンドは伝える。さらに、「ボーイズラブや美少年を主人公とする物語の礎も築き、それは当時の若い日本人女性や後続のアーティストに強い影響を与えた。そのようなフィクションが、いまはまったく珍しいものではなくなった所以である」と記事は続く。 2023年には、日本での発売から半世紀を経て、萩尾の初期の名作『ポーの一族』がフランスで発売された。仏誌「ル・ヌーヴェル・オプス」は、フランスで光を浴びはじめた「少女漫画」に関する記事のなかで、ポーの一族のフランス語版を出版したアカタ社のブリュノ・ファムに取材している。 「萩尾望都は、その長けた美的センスやキャラクターの鋭い心理描写などによって、少女漫画の物語とビジュアルの発展に貢献した」のだという。 2024年1月には、『ポーの一族』の第2巻、さらに同じアカタ社から『バルバラ異界』と『レオくん』も刊行された。萩尾望都の作品はまだまだある。フランスが今後はまるであろう「沼」が眼に浮かぶようだ。 2 りんたろう(アニメ監督) フランスで自伝漫画『1秒24コマの私の人生』を刊行した、アニメ監督のりんたろう。『銀河鉄道999』や『メトロポリス』などの代表作を持つりんたろうによるその作品を、仏紙「ル・モンド」は「日本のアニメ業界の柱石を担ってきた重鎮の証言集」と表現する。本人へのインタビューを軸に、「映画に魅せられて、ひたすら映画を追求した」彼の人生をフランスの読者に伝えた。 3 鳥山明(漫画家) 2024年3月、『Dr.スランプ』や『ドラゴンボール』など、世界的な人気作品を生み出してきた漫画家・鳥山明の死去の報せに、世界中が悲しみに包まれた。スペインでは、鳥山の名前を冠した通りを作ろうという動きも生まれ、米「ワシントン・ポスト」紙は、「鳥山の影響を受けていないポップカルチャーは皆無に等しい」と伝えるなど、世界のメディアがさまざまな言葉で彼の残した功績を称えた。 4 岸本斉史&池本幹雄(漫画家) 2024年8月、フランスを訪れた岸本と池本を2500人の観衆が盛大な歓声で出迎えた。その様子を報じた仏紙「ル・モンド」は、岸本の生んだ漫画『NARUTO』について、「連載終了後10年が経つが、その物語は3世代に及ぶ読者の心のなかで生き続けている」と伝える。さらに、長文のインタビューでは、池本が続編として制作する『BORUTO』から読み解く、二人の作風の違いなどが明かされ、フランスのファンを喜ばせた。 5 沙村広明(漫画家) フランスでの新装版『無限の住人』が発売された沙村のインタビューを、仏紙「ル・モンド」が掲載。同紙はその作品について、日本での刊行から「30年たったが、絵が放つパワーはまったく失われていない」と驚きをもって伝え、「日本の剣豪もの漫画として『殿堂入り』を果たしている同作は、岸本斉史などの作家らに影響を与えただけでなく、世界中の読者にも強烈な印象を与えた」と評価する。
COURRiER Japon