名スカウトが昨季ドラフトを総括採点。成功した球団はどこか?
中日、オリックスが次のグループ。 「京田と巨人の吉川はドラフト前に遊撃手として評価が2分していたが、1年目に関しては大きな差が出た。違いを生んだのは、体の芯が強かった京田と、まだそこがひ弱だった吉川のフィジカルの差。私は、大学、社会人の遊撃手は、まず守備から見るが、京田は、そこに安定感があったからこそ、使ってもらえて打撃の方も慣れという名の対応に成功した。オリックスは社会人、大学の2人の投手が期待に応えた。山岡は、体が開き気味だったので、通用するかどうか疑念があったが、スライダーが特殊球となって通用した。援護がもらえず6連続でプロ初勝ち星から遠ざかっていたが、チームがチームなら2桁は勝って源田と新人王を争っただろう。両球団共にチーム成績が低いので採点を渋くしたが、スカウトの仕事としては高く評価されていい」 合格点ギリギリに滑り込んだのが巨人とロッテだ。 「巨人は先発では畠、中継ぎでは池田が即戦力となった。開幕に揃わなかった点をマイナスにしたが、畠がいなければ、終盤の3位争いはなかっただろう。ただ、吉川は別にして、将来性のある野手を取らなかったのは解せない。ロッテの佐々木については後述するが、酒居、有吉の2人が戦力になった」 巨人はドラ1の吉川尚輝(中京学院大)が、即戦力にならなかったが、ドラフト指名後に肘の手術を行った影響で出遅れた2位の畠世周(近大)が7月のデビュー後に、6勝4敗、防御率、2.99の成績を残して巨人猛追の原動力になった。4位の池田駿(ヤマハ)も33試合に中継ぎ登板した。 ロッテは、外れ1位で異例の5球団の競合となった佐々木千隼(桜美林大)を引き当てて、4月6日の日本ハム戦で初勝利をあげたが、その後、4連敗。クイックができず走者を置くと苦しくなる弱点を露呈、制球難も加わり、1、2軍を行き来して4勝7敗の成績に終わった。だが、2位指名の酒居知史(大阪ガス)が、8月から先発を任され5勝1敗、防御率、3,13の数字で、佐々木の“期待外れ”の穴を埋めた。中継ぎで5位の有吉優樹投手(九州三菱自動車)も53試合に登板した。