名スカウトが昨季ドラフトを総括採点。成功した球団はどこか?
2017年のプロ野球ドラフト会議が、いよいよ10月26日に行われる。1位での競合必至の早実、清宮幸太郎内野手が、どの球団に行くのか注目を集めているが、その球界のビッグイベントを前に、昨季のドラフトの結果を総括して振り返ってみたい。ヤクルトのスカウト責任者として古田敦也らを発掘した片岡宏男さんに“名スカウト”の独断と偏見で、総括採点をしていただいた。 「西武の源田、中日の京田と、レギュラーを獲得した野手が2人に、横浜DeNAの濱口、オリックスの山岡、阪神の小野と、ローテーを守ったピッチャーが3人もいた。後半からだったが、投手では、楽天の藤平、巨人の畠、ロッテの酒居、野手では阪神の大山もレギュラーに定着した。楽天の高梨、森原、菅原、オリックスの黒木、西武の平井など、中継ぎでフルに活躍したピッチャーも、これだけいたのだから、今年のドラフトは総体的に判断して当たり年だったと言っていいだろう。私は、昨年のドラフトの時点で、“阪神を最悪、ロッテを最高”と評価したが、1年経過して、こういう結果に変わるのがドラフト。入団したチームの指導体制やチーム事情、本人の順応力によって、すぐ出てくるか、時間がかかるか、そのまま終わるかが違ってくるのだ。まず“使ってもらう”というのが一番だが」 片岡さんの今季の結果を踏まえたドラフト採点は、上位から順番に 1位が横浜DeNA、西武の【75点】、3位が阪神、楽天の【70点】、5位が中日、オリックスの【60点】、7位がロッテ、巨人の【50点】、9位がヤクルト、ソフトバンク、広島の【40点】、最下位が日ハムの【30点】となった。 トップ評価したのは横浜DeNAと西武。 「野球はチーム貢献。外れの外れで10勝をあげた濱口は、横浜DeNAのCS進出に貢献した。左腕は上背がなくとも通用することを証明した。角度のあるボールが効いた。西武の源田は、足とシェアな打撃でチームのセンターラインを固め、西武の野球スタイルさえ変えた。この先、何年も期待できるであろう主軸の選手を一人出したことは大成功と言える。これは簡単なことではない」 横浜DeNAのドラ1、濱口遥大(神奈川大)は、夏場に肩に異常を訴えたが、なんとか1年間働き、10勝10敗、防御率、3.57。西武の2位、源田壮亮(トヨタ自動車)はショートでフルイニング出場を果たし打率.270で、タイトルにわずか2つ届かなかった37盗塁をマークした。新人王は当確。いずれもチームのCS出場に貢献した。 続いて高い評価を与えたのは阪神と楽天だ。 「阪神の大山は1位でなくとも取れた選手だけに、今でも、阪神のドラフト戦略自体は評価しないが、ダメになるか、化けるか、どっちかの選手だと思っていた。後半だけで、あれだけ打ちCSでも活躍した。化ける兆しは見せた。選球眼がよくノー感じな空振りがないので、そこまで壁にぶつからないのではないか。小野も勝ち星に恵まれなかったが、1年間、よく投げた。楽天は、3人の即戦力の中継ぎをうまく取った。左の高梨は、ドラフト前から面白いと見ていたが、個性が光った。現場が助かる即戦力だけでなく、高校生ながら後半からローテーに入った藤平という大きな伸びシロと将来性感じさせる投手も出てきた。楽天は、理想的なドラフトの成功例と言っていいだろう」